整備の進め方 / 更新 2026-10-19

改正個人情報保護法の政令・規則・ガイドライン等の整備の進め方(6段階)

出典: 個人情報保護委員会事務局「政令・規則・ガイドライン等の整備に関する今後の進め方について」(2026年9月9日・第366回委員会決定は2026年8月26日)、同「今後の取組について」(2026年7月31日)の附帯決議。2026-09-10・附帯決議部分は2026-09-23に本文を確認。

ノートパソコンで資料を作成する手元

政令・委員会規則・ガイドラインの中身は、まだ何も決まっていません。ただし「どういう順番で、誰の意見を聞きながら決まっていくか」というプロセスは、個人情報保護委員会事務局が2026年9月9日に6段階で示しています。この記事はその手順と、当面のスケジュールイメージを整理します。

1. 整備は6段階で進む

委員会事務局は「本年9月以降、全体像を踏まえ、以下の流れで、政令・規則等の具体的な内容の議論を進めていく」としています。

  1. STEP 1

    委員会が、改正法の4分類(適正なデータ利活用の推進/リスクに適切に対応した規律/不適正利用等防止/規律遵守の実効性確保のための規律)・テーマごとに、規定の制度趣旨や国会審議の内容を踏まえた基本的な考え方を示して議論する(論点を何回かに分けて議論することを想定)。

  2. STEP 2

    その議論等を踏まえ、事務局が多様な個人の立場から意見を伺う団体・事業者の立場から意見を伺う団体との意見交換を幅広く実施する(個別またはグループごとに、委員会会合の開催に応じて実施)。

  3. STEP 3

    事務局が、上記の団体へのヒアリングを実施する(個人・事業者双方の立場が混在する形で実施し、議事概要を委員会に報告・公表)。

  4. STEP 4

    委員会が、意見交換・ヒアリングの内容も踏まえ、政令・規則等で定める具体的内容を示して議論する(基本的な考え方の議論と同様に、各論点を数回程度に分けて議論することを想定)。

  5. STEP 5

    STEP4の各会合の開催に応じて、再び意見交換を実施する。

  6. STEP 6

    委員会が、幅広く伺った意見等を考慮しつつ、政令・規則の条文案を提示して議論する。その後、委員会として意見公募手続(パブリックコメント)を開始する。

パブリックコメントは6段階の最後に置かれています。つまり意見公募が始まった時点で、内容はすでに条文案の形になっているということです。準備の都合上は、その手前のSTEP1(基本的な考え方)・STEP4(具体的内容)の議論を見ておく必要があります。

2. 誰が意見を言えるのか(マルチステークホルダー連携プロセス)

STEP2の意見交換・STEP3のヒアリングに参加する団体として、一次資料は次の17団体を挙げています。双方の立場からオブザーバー参加も可能とされています。

多様な個人の立場から意見を伺う団体(9団体)

一般社団法人ECネットワーク、一般社団法人Consumer Rights Japan、一般社団法人全国消費者団体連絡会、一般社団法人日本若者協議会、一般社団法人Privacy by Design Lab、一般社団法人MyDataJapan、公益社団法人全国消費生活相談員協会、サステナビリティ消費者会議、主婦連合会

事業者の立場から意見を伺う団体(8団体)

一般社団法人新経済連盟、一般社団法人データ社会推進協議会、一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人日本IT団体連盟、一般社団法人日本経済団体連合会、在日米国商工会議所、Business Software Alliance、プライバシーテック協会

個々の事業者が直接意見を述べる窓口ではなく、上記の団体を通じた意見交換という位置づけです。自社が該当する業界団体がこの一覧に含まれるかを確認しておくと、間接的に意見交換の内容を把握しやすくなります。

3. 当面のスケジュールイメージ(2026年8月〜2027年1月)

一次資料には、2026年8月から2027年1月にかけての「当面のスケジュールのイメージ」が示されています。会合の具体的な開催日は「今後調整」と明記されており、下の時期はいずれも見込みです。

  1. 確定済み政令・規則等の全体像を公表2026-08-26
  2. 確定済み今後の進め方(6段階)を公表2026-09-09
  3. 確定済み基本的考え方①を公表2026-09-16
  4. 確定済み基本的考え方②を公表2026-10-01
  5. 確定済み基本的考え方③を公表2026-10-14
  6. 見込み意見募集(パブリックコメント)2027年1月〜
「確定済み」は公表が済んだ日付、「見込み」は一次資料のスケジュールイメージ。会合の開催日は「今後調整」とされています。
公表の節目ごとに、社内で誰が何を確認するか(確認項目は編集部の整理で、委員会が定めたものではありません)
時期(状態)委員会・事務局が出すもの社内で確認すること主に見る部署
2026-08-26(公表済み)政令・規則等で定める事項の全体像自社に関係しそうな論点を12論点の一覧で絞る法務・総務
2026-09-09(公表済み)意見交換・事務局ヒアリングの概要、6段階の進め方所属する業界団体が意見を伺う団体の一覧に含まれるかを確かめる法務・渉外
2026-09-16(公表済み)基本的考え方①(子供の個人情報、顔特徴データ等、本人関与に関する規律)未成年の顧客・会員、顔画像などの取扱いの有無を台帳で確かめる情シス・各事業部
2026-10-01(公表済み)基本的考え方②(統計作成等の特例、委託先、漏えい等)委託契約の一覧と、漏えい等の報告手順の現状を確かめる法務・情シス
2026-10-14(公表済み)基本的考え方③(連絡可能個人関連情報、オプトアウト、課徴金。事務局の案・問いかけで、決定ではない)名簿の第三者提供、メール等の連絡先の取扱いの有無を確かめる総務・マーケティング
時期未定(STEP4・5)政令・規則で定める具体的内容(会合日は「今後調整」)未確定の項目を社内で共有し、決まった項目から部署別の確認項目に移す法務・総務
2027年1月〜(見込み)条文案の提示と意見募集(パブリックコメント)条文案の形で意見を出すかを、所属団体を通じた意見交換の有無とあわせて検討する法務

各論点の委任条文・決定状況・最新の公表物の日付は、12論点の一覧に1枚の表でまとめています。日付順の記録は決定タイムラインです。このページの表は、手順上いつ何を見るかだけを扱います。

意見交換会・事務局ヒアリングについては、個人の立場から意見を伺う団体・事業者の立場から意見を伺う団体のいずれも「委員会の開催に応じて随時開催予定」「会合日程は今後調整」とされ、具体的な開催日は一次資料に記載がありません。

4. 衆参附帯決議14項目の配慮事項

改正法は、衆議院(2026年5月21日・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会)と参議院(2026年7月8日・デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会)それぞれで、ほぼ同内容14項目の附帯決議とともに可決されました。附帯決議は政府に運用上の配慮を求める国会の意思表示であり、法的拘束力のある決定事項ではありません。政令・規則の内容そのものを決めるものでもありませんが、STEP1「基本的な考え方」の議論(上の1)は「国会審議の内容を踏まえ」て行うとされているため、どの論点が今後の議論で重視されやすいかの手がかりになります。

附帯決議14項目と、関係する11テーマ・本サイトの記事
項目国会が求めた配慮事項(要旨)関係する11テーマ
一委員会規則等の制定にあたり、あらかじめ国民・団体等から意見を聴取し、政策決定過程の透明性と予見可能性を確保すること特定のテーマに限定されず、政令・規則の整備プロセス全体(上の1・2)に関わる
二AI開発等を含む研究開発・事業活動が過度に萎縮しないよう、EU一般データ保護規則等の諸外国制度との整合性に配慮すること統計作成等の特例(参議院の文言は「統計作成等の概念が適正に解釈されるよう留意」と明記)
三AI開発等を含む統計作成等で個人を再識別できない措置を確実に講じ、概念が限定解釈されないようにし、公表状況を委員会も把握すること統計作成等の特例
四統計作成等目的の要配慮個人情報の取扱いで、安全管理措置・委託先監督を徹底させること(参議院は医療分野のガイドライン整備にも言及)統計作成等の特例、委託先における個人データ等の適正な取扱い
五閲覧・購買履歴等から機微な情報を推知する精度の高いプロファイリングについて、規制のあり方を諸外国の法制度を踏まえ引き続き検討すること現行の11テーマのいずれにも該当せず、今後新たに争点になりうる論点
六プライバシー強化技術(PETs)の活用について、産業競争力向上の観点から適切なインセンティブのあり方を検討すること現行の11テーマのいずれにも該当せず、今後新たに争点になりうる論点
七取得状況からみて本人の意思に反しないため権利利益を害しないことが明らかな場合の同意取得不要特例について、規則で具体的な範囲・判断基準を明記し恣意的判断や濫用を防ぐこと目的外利用・要配慮個人情報取得・第三者提供の規律緩和
八こども基本法の精神にのっとりこどもの最善の利益を最優先し、同意取得は消費者・事業者双方に過度な負担を生じさせない柔軟な手法とし、教育・保育現場への周知を徹底することこどもの個人情報
九特定生体個人情報(顔特徴データ等)について、周知行動の実効性を確保する方策を検討し、監視カメラ等の機器周辺への掲示等による周知を徹底させること顔特徴データ等
十漏えい等報告に係る本人通知の代替措置が許容される場合について、規則で具体的な対象範囲・判断基準を明記し恣意的判断や拡大解釈を防ぐこと漏えい等報告・本人通知義務の緩和
十一オプトアウト届出事業者への監視・監督を徹底し、闇名簿への流用等の重大違反には緊急命令・課徴金納付命令を速やかに発出することオプトアウト制度の強化、課徴金の導入
十二課徴金納付命令の基準等を明確なガイドラインで示して運用の透明性を確保し、違反を繰り返す悪質事業者への実効性ある制度運用に努めること課徴金の導入
十三団体による差止請求制度・被害回復制度について、消費者・事業者双方の意見に配慮しつつ導入に向けた検討を引き続き行うこと団体訴訟制度(改正法の条文には未導入。この項目十三が検討継続を求めた根拠であることは同ページで既に整理済み)
十四委員会の監視・監督等の業務増加を踏まえ、人員・予算の更なる充実に取り組むこと特定のテーマに限定されず、委員会の執行体制整備に関わる(勧告・命令等の実効性確保の運用体制と間接的に関連)
この表の性質上の「関係する11テーマ」は、附帯決議の文言が実際に扱っている条文・論点をもとにした編集部の整理であり、委員会が公式に対応づけたものではありません。附帯決議そのものは政令・規則の内容を決めるものではなく、決まったことではありません。今後の基本的な考え方の議論やパブリックコメントで、実際にどう反映されるか(またはされないか)を決定タイムラインで追跡します。

5. まだ決まっていないこと

まだ決まっていないこと各STEPの会合の具体的な開催日、基本的考え方③の次のテーマ別スケジュール、政令・委員会規則の条文案が示される時期。委員会のロードマップ(決定タイムライン参照)によれば政令・委員会規則は2027年内の公布を見込むとされていますが、これも「大まかな見込みであり、今後の状況によって変わり得る」と資料自身が明記しています。

社内で改正対応を進める側は、決まっていることと未定のことを部署ごとに分けた総務・法務・情シス別の確認項目表から確認できます。

この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会が公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。会合の開催状況は決定タイムラインと更新履歴で追跡します。

よくある質問

政令・規則・ガイドラインは、どんな順番で決まりますか

個人情報保護委員会事務局が2026年9月9日に6段階の流れを示しています。段階の内容は上の「1. 整備は6段階で進む」のとおりで、意見募集(パブリックコメント)は最後に置かれています。

事業者が意見を伝えられる場はありますか

委員会は、マルチステークホルダー連携プロセスとして、多様な個人の立場から意見を伺う9団体と、事業者の立場から意見を伺う8団体を示しています。団体名は上の「2. 誰が意見を言えるのか」に一覧しています。団体に属さない事業者向けの窓口は、確認した資料には記載がありません。

意見募集(パブリックコメント)はいつ始まりますか

月日は示されていません。当面のスケジュールイメージでは2027年1月ごろの位置に置かれていますが、見込みであり確定した日付ではありません。日付の整理は改正対応の期限の暦で確認できます。

決まっていない中身は、どこで確認できますか

論点ごとの未決事項はまだ決まっていないこと一覧、決まった事項の日付順の記録は決定タイムラインで確認できます。

出典