事業者側の工程表 / 更新 2026-10-20

個人情報保護法の令和8年改正、準備はいつから何をするか(事業者向け工程表)

出典: 個人情報保護委員会事務局「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けた個人情報保護委員会の今後の取組について」(2026-07-31)。2026-09-06に確認。

ノートパソコンで資料を作成する手元

施行日の答え: 令和8年改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)は、公布日(2026年7月17日)から2年を超えない範囲で政令が定める日に施行されます。この政令はまだ公布されておらず、本体部分の施行日は決まっていません。例外として、罰則関係などの規定は公布から6か月後の2027年1月17日に施行されます(附則第一条)。

令和8年改正は、政令・委員会規則・ガイドラインの中身がまだ決まっていません。決定タイムラインで確定した事実だけを追うと、「何も決まっていないなら今は何もしなくていい」と見えてしまいますが、委員会自身が示した工程表を見ると、政令等が固まってから動き始めたのでは間に合わない準備があります。ここでは委員会の工程表をもとに、「今」「政令・委員会規則の公布後」「施行前」の3段階で、事業者が確認しておく一般的な順序を整理します。

このページの範囲ここに書くのは、委員会が公表した工程表から読み取れる「いつ、何を確認すればよいか」の順序です。自社がどの改正項目の対象になるか、対応として何をすべきかの個別の判断はしません。対象の絞り込みは該当性チェックを、個別の対応は顧問弁護士・個人情報保護委員会にご確認ください。

1. 委員会が示した工程表(一次資料に基づく大枠)

委員会事務局は2026年7月31日、改正法の円滑な施行に向けた取組方針とあわせて、政令・規則・ガイドライン等の整備が進む大まかな流れを図で示しました。

  • 政令・委員会規則: 「政令・規則等で定める事項の全体像の提示」(2026年8月26日に実施済み)に続き、検討・審議 → 意見募集 → 公布の順に進む
  • ガイドライン・Q&A: 政令等よりやや遅れて検討・審議 → 意見募集 → 施行前に公表。特定分野に対応したガイドラインは随時整備するとしている
  • 周知広報: 改正法の概要についての周知・広報を先行させ、政令等の内容が固まった段階で改めて周知・広報を行う
  • 法執行・技術的検討体制: 課徴金・統計作成等の特例の執行体制整備と執行方針の検討を並行して進める
「大まかな見込み」であることが明記されています委員会は工程表の末尾に「上記の表は現時点での大まかな見込みであり、今後の状況によって変わり得る」と注記しています。月単位の確定日は示されていません。本ページも、月や年を確定した期限として書いていません。

2. 今(政令・委員会規則の公布前)にできること

政令等の中身が分からない段階でも、次のような準備は前倒しで進められます。個々の対応が必要かどうかの判断ではなく、調べる対象を先に洗い出しておくという位置づけです。

  1. 自社が扱っている個人情報・個人関連情報の種類を棚卸しする(顔認証・顔特徴データの利用有無、16歳未満の利用者の有無、保有する個人データの人数規模、委託先・再委託先へのデータ提供の有無など)。11テーマのうちどれが関係しうるかは該当性チェックで絞り込めます。
  2. 社内で改正対応の担当窓口を決め、決定タイムラインなど委員会の公表を追う体制を作る。政令・規則は今後1年半ほどかけて段階的に決まっていくため、単発の確認では追いきれません。整備がどの順番で進むかを押さえておくと、どの段階で何を確認すればよいかの見通しが立てやすくなります。
  3. 委託契約・プライバシーポリシー・社内規程のうち、個人情報の取扱いに関わる文書の所在を確認しておく。改正後に見直す際、どの文書を直すかをその場で探す時間を減らせます。

3. 政令・委員会規則の公布後にやること

政令・委員会規則が公布されると、改正法の各条文が対象とする要件・事例が具体的に示されます。この段階で確認する順序は次のとおりです。

  1. 自社が該当性チェックで絞り込んだ改正項目について、公布された政令・規則の内容と自社の実態を突き合わせる。
  2. 該当する項目があれば、委託契約・社内規程・同意取得の方法など、見直しが必要な箇所を洗い出す。
  3. 見直しの要否・具体的な対応方法は、この段階で顧問弁護士や個人情報保護委員会の窓口に確認する。政令・規則の条文解釈は本サイトの範囲外です。

4. ガイドライン・Q&A公表後(施行直前)にやること

工程表によれば、ガイドライン・Q&Aは政令等よりやや遅れて検討され、施行前に公表される見込みです。この段階では、政令等の内容を踏まえた実務手順が具体化されるため、次を確認します。

  1. 社内マニュアル・研修資料へ、確定した実務手順を反映する。
  2. 従業者・委託先への周知(改正内容の説明、対応手順の共有)を行う。
  3. 特定生体個人情報(顔特徴データ等)を扱う事業者は、周知行動(本人への掲示等)の実務が固まった段階で、掲示物・案内の見直しを行う。

5. 唯一、日付が確定している期限:2027年1月17日

ここまでの3段階はいずれも時期が「見込み」ですが、罰則関係の規定と公示送達のデジタル化だけは、改正法の公布から6か月後の2027年1月17日という確定日があります。詳しい内容は2027年1月17日施行の罰則にまとめています。本体部分(課徴金・こどもの個人情報・特定生体個人情報など11テーマ)は「公布から2年を超えない範囲内で政令が定める日」で、実際の施行日は政令が公布されるまで確定しません。

6. まとめ:段階ごとの「やること」と確定状況(2026-10-15時点)

準備の4段階と、各段階の時期・確定状況
段階やること(このページの整理)時期の確定状況
政令・規則の公布前(今)扱う個人情報の棚卸し、担当窓口と追う体制づくり、関係文書の所在確認段階は現在。委員会の工程表は「大まかな見込み」で、月単位の日付は示されていない
政令・規則の公布後公布された内容と自社の実態を突き合わせ、見直す箇所を洗い出し、顧問弁護士などに確認公布は2027年内の見込み。月日は未定
ガイドライン・Q&A公表後(施行直前)マニュアル・研修資料への反映、従業者・委託先への周知、掲示物・案内の見直し施行前に公表される見込み。月日は未定
2027年1月17日罰則関係の規定と公示送達のデジタル化の施行日。課徴金や顔特徴データ等の規律は始まらない確定(公布から6か月後)
本体部分の施行日課徴金・こどもの個人情報・特定生体個人情報など11テーマの規律が始まる日未確定(公布から2年を超えない範囲で政令が定める日。政令は未公布)

「確定」は、法律本文または委員会の公表資料に日付が書かれていることを指します。各項目の決定状況はまだ決まっていないこと一覧と決定タイムラインで更新しています。

時期別に読むページ(今・政令案の公表後・公布後・罰則の施行日)
時期この時期に確認すること読むページ時期の状態
今(政令・規則の公布前)自社に関係しうる改正項目の絞り込み、追う体制、関係文書の所在該当性チェック、決定タイムライン、政令・規則で定める12論点の一覧現在の段階
政令案・規則案の公表後(意見募集)案の内容と自社の実態の照合、意見募集に出す点があるかの検討整備の進め方、新旧条文対照表工程表上は検討・審議の次の段階。月日は示されていない(未確定)
政令・規則の公布後確定した内容に合わせた見直し箇所の洗い出し、記録の整備改正対応の記録簿の項目、相談前の整理シート未確定(本体の施行日は公布から2年を超えない範囲で政令が定める)
2027年1月17日(罰則関係の施行日)罰則関係の規定と公示送達のデジタル化の施行。課徴金などの本体部分は含まれない2027年1月17日施行の罰則、施行日の暦確定(公布から6か月後)

表の「読むページ」は、その時期に確認する内容に近い記事への案内です。どの対応が必要かは、自社の事情によるため顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

確認しておく順序

個別の対応を決める前に、次の順で確認することをおすすめします。

  1. 該当性チェックで、自社が関係しうる改正項目を絞り込む
  2. 決定タイムラインで、その項目に関する政令・規則の議論の進み具合を確認する
  3. 政令・規則が公布されたら、対応の要否・方法を顧問弁護士や個人情報保護委員会に確認する

社内へ伝える場面では、経営層への報告は経営層への改正対応報告の4区分、従業員向けの研修は研修で令和8年改正を扱う組み立てで、確定と未確定を分けた書き方を確認できます。

この記事の位置づけここに書いたのは、委員会が公表した工程表から読み取れる一般的な確認の順序であり、自社が何をすべきかの個別の助言ではありません。対応の要否・具体的な方法は、顧問弁護士や個人情報保護委員会にご確認ください。

よくある質問

準備はいつから始めればよいですか

政令・委員会規則の公布前でも、調べる対象の洗い出し(取り扱う個人情報の種類の棚卸し、窓口の決定、関係文書の所在確認)は進められます。個別の対応が必要かどうかの判断は、政令・規則の公布後に行う段階です。

確定している期限はありますか

確定しているのは、罰則関係の規定と公示送達のデジタル化が施行される2027年1月17日だけです。本体部分は「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」で、施行日は未定です。日付の一覧は改正対応の期限の暦にあります。

自社が改正の対象かどうかは、どう調べますか

関係しうる改正項目の絞り込みは該当性チェックでできます。最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会へご確認ください。

ガイドラインやQ&Aはいつ公表されますか

委員会の工程表では政令等よりやや遅れて検討され、施行前に公表される見込みです。月日は示されておらず、工程表は「大まかな見込み」と注記されています。

出典