リスクに適切に対応した規律 / 更新 2026-10-19

16歳未満の個人情報と同意|法定代理人の関与・例外

出典: 個人情報保護委員会「改正法の概要」(2026-07-17)、同事務局「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方について①」(2026-09-16)、同「読替表(16歳未満の者の個人情報等の取扱いの規定関係)」(2026-09-16)。改正法の概要は2026-09-04、基本的な考え方①・読替表は2026-09-21に本文を確認。

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呼び方について 個人情報保護委員会の資料は「子供の個人情報」と表記しています(改正法の概要資料の見出しは「第2 1 子供の個人情報の取扱いに関する規律」)。一般には「こども」「子ども」とも書かれ、検索ではどの表記も使われます。このページでは読みやすさから「こども」を主に使い、一次資料の見出しや条文の文言を引用する箇所だけは資料どおり「子供」と書いています。いずれも同じものを指します(ほかの用語との対応は用語の対応表)。

16歳未満の規律がいつから始まるかの答え: 施行日は未定です。この規律は改正法の本体部分に含まれ、公布日(2026年7月17日)から2年を超えない範囲で政令が定める日に施行されます(詳しくは3節)。

16歳未満の利用者がいるサービス、教育・保育の現場、こども向けの商品・コンテンツを扱う事業者に関係します。何が決まっていて、何がこれから政令・規則で決まるのかを分けて書きます。

1. 現行制度との違い

現行規定では、子供の個人情報の取扱いに係る事業者の義務は、法律の条文ではなくガイドラインとQ&Aの記載のみでした。「本人の同意」を得ることが求められる場面で、未成年者が同意の結果を判断できる能力を有していない場合は親権者・法定代理人等から同意を得る必要があるとされ、個別具体的に判断すべきとしつつも、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子供の場合に法定代理人等から同意を得る必要があるとされてきました(通則ガイドラインに関するQ&A)。

今回の改正で初めて、法律上16歳未満という明確な年齢基準が設けられます(根拠として、既存のQ&A〈Q1-62〉と、欧州の一般データ保護規則〈GDPR〉8条が参照されています)。「だいたい12〜15歳」という運用上の目安から、「16歳未満」という法定の線引きに変わる点が最大の違いです。

2. 課される3つの規律

(1) 本人の最善の利益を優先する責務規定

事業者は、当該未成年者の年齢および発達の程度に応じて、その最善の利益を優先して考慮した上で、未成年者の権利利益を害することのないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の責務規定が新設されます。

(2) 通知・同意取得への法定代理人の関与の義務付け

利用目的の通知等、目的外利用・要配慮個人情報取得・第三者提供の際の同意取得について、16歳未満の本人に代わって法定代理人の関与が義務付けられます。なお同じ改正で、これらの同意そのものが不要になる例外も広がります(目的外利用等の規律緩和)。16歳未満の個人情報を扱う事業者は、同意を誰から得るかの規律と、同意が要るかどうかの規律の両方が動く点に注意が必要です。どの条文で「本人」が「本人の法定代理人」に置き換わるかは、委員会が2026年9月16日に公表した読替表を条文ごとの一覧にしました。

例外(一次資料で確認)次のいずれかに当たる場合は、法定代理人の関与が不要です。
① 本人が16歳未満であることを事業者が知らないことについて正当な理由がある場合
② 法定代理人が本人の営業を許可しており、事業者が当該営業に関して個人情報を取得した場合
③ 本人に法定代理人がない、またはそのように事業者が信ずるに足りる相当な理由がある場合

(3) 利用停止等請求の要件緩和

本人(法定代理人を含む)は、違法行為の有無等を問わず、利用停止等を請求できるようになります。

例外(一次資料で確認)次のいずれかに当たる場合は、この緩和された請求ができません。
① 法定代理人の同意を得て取得された保有個人データである場合
② 要配慮個人情報の取得に係る例外要件と同種の要件に該当する場合
③ 本人が16歳以上であると信じさせるために詐術を用いた場合
④ 法定代理人が本人の営業を許可しており、事業者が当該営業に関して保有個人データを取得した場合 等

法定代理人の関与・責務規定については、行政機関等についても同様の改正が行われます。

まだ決まっていないこと違法行為等の有無を問わない利用停止等請求の例外事由のうち、政令で定めるもの(法第35条第9項第12号)と、委員会規則で定める「取得の状況からみて子供本人の権利利益を害しないことが明らかである場合」(同項第8号)・「一定の主体により公開されていた場合」の公開主体(同項第9号)は、まだ公布されていません。2026年9月16日に委員会事務局が公表した「基本的な考え方について①」は、次を論点として示しました。決定ではなく、「でよいか」「あるか」と問う検討の段階です。
① 第8号の規則は、目的外利用等の規律緩和で論点になっている「取得の状況からみて…明らかである場合」と同様でよいか(目的外利用等の規律緩和)。
② 第9号の公開主体は、現行の要配慮個人情報の取得の例外(公開情報)について定めた施行規則第6条と同じ、外国政府・外国の学術研究機関等・外国の報道機関等に相当する者としてよいか。
③ 第12号で政令に定める、法律上の11類型に準じる例外事由として、加えるべきものはあるか。
資料は、規則や政令で定められる範囲はそれぞれ限られるとも整理しています(第8号は、法定代理人が同意する意思を有し、または同意すべき立場にあり、子供本人に不測の権利利益の侵害をもたらさないことが自明な場合に限る。第12号は、法律上の11類型に準じる場合に限る)。詐術の該当性判断基準や、法定代理人の確認方法の実務的な目安(ガイドライン・Q&A)も、現時点では示されていません(資料は、ガイドライン等は今後の委員会で順次検討するとしています)。

3. 16歳未満の規律はいつから適用されるか

この規律は本体部分に含まれ、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます。実際の施行日は政令で指定されます。決定タイムラインで追記していきます。

国会の附帯決議には、こどもの最善の利益を最優先にし、同意の取り方は消費者・事業者の双方に過度な負担を生じさせない柔軟な手法を認めるよう求める項目(第八項)があります。衆参の違いは附帯決議14項目の対照表で確認できます。決議は規則の中身を決めるものではありません。

4. 自社が該当するかを考える順序

  1. 自社のサービス・商品の利用者に16歳未満が含まれるか。含まれる場合、現行の年齢確認・同意取得の運用(何歳を目安にしているか)を書き出しておく。
  2. 16歳未満の利用者から個人情報を取得・利用する場面で、現在どのように法定代理人の関与を得ているか(または得ていないか)を確認する。
  3. 本人が16歳未満であることを確認する手段(年齢入力・保護者確認等)の有無を確認する。詐術による例外は「事業者側に正当な理由がある不知」を前提としており、確認手段を持たないこと自体が正当化されるわけではない点に注意する。
  4. 教育・保育の現場でこどもの個人情報を扱っている場合は、法令・ガイドラインの周知が現場まで届く体制になっているかを確認する(国会附帯決議でも周知徹底が求められている)。

当てはめの例(仮想の事業者を仮定した確認の進め方)

以下は、実在しない事業者を仮定した確認手順の例です。法定代理人の関与が必要かどうかの結論は示しません。

仮定: 小学生から高校生までが通う学習塾。申込書に生徒の氏名・学校名・成績を書いてもらい、成績を提携先の教材会社に提供することを検討している。申込みは保護者名義だが、生徒本人がアプリに登録する場面もある。

仮想の学習塾に16歳未満の規律を当てはめる手順(結論は出しません)
場面この例で見ること現時点で分かること
生徒の年齢生徒のうち16歳未満(中学生以下と高校1年生の一部)は誰か。年齢や学年をどう把握しているか法定の線引きは16歳未満。運用上の目安は12〜15歳だった
成績の提供提携先への第三者提供で、同意を保護者から得ているか、生徒本人から得ているか16歳未満の同意取得には、法定代理人の関与が義務付けられる
アプリ登録生徒本人の登録時に、16歳未満かどうかを確かめる手段があるか知らないことに正当な理由がある場合は例外。確認手段を持たないこと自体が正当化されるわけではない
利用停止の請求退塾後に保護者から利用停止を求められたとき、社内で受け付けて対応する流れがあるか違法行為の有無を問わず請求できるようになる。例外事由の一部は政令・規則待ち

この例から言えるのは、場面ごとに「誰の同意か」「年齢をどう確かめるか」を書き出すと、現在の運用との差が見えるということです。個別の判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください(確認日 2026-10-09。根拠は上の第1〜2節と出典に挙げた資料)。

この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会が公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自社の取扱いが規律の対象に当たるかの最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。政令・委員会規則が公布されるまで、上の「まだ決まっていないこと」は確定しません。

5. 顔特徴データ等を扱う場合はどうなるか(法第35条第7項・第9項の関係)

子供〈16歳未満〉の利用停止等請求(法第35条第9項)と、顔特徴データ等の利用停止等請求(法第35条第7項)は、どちらも「違法行為等の有無を問わない」という点で共通し、例外事由の一部を政令・委員会規則に委ねている点も共通します。決まっていることと、これから決まる範囲を条文の号番号で分けると次のとおりです。

子供(第35条第9項)と顔特徴データ等(第35条第7項)の利用停止等請求の対比
子供・16歳未満(第35条第9項)顔特徴データ等(第35条第7項)
法律で決まっていること違法行為等の有無を問わない利用停止等請求権そのもの。例外事由は法律上11類型が列挙されている同左。例外事由も法律上9類型が列挙されている
委員会規則で決まるのを待つ例外取得の状況からみて子供本人の権利利益を害しないことが明らかな場合(同項第8号)、一定の主体により公開されていた場合の公開主体(同項第9号)特定生体個人識別符号の作成・取得の状況からみて本人の意思に反しないため権利利益を害しないことが明らかな場合(同項第9号)
政令で決まるのを待つ例外法律上の11類型に準じる例外事由として追加すべきもの(同項第12号)法律上の9類型に準じる例外事由として追加すべきもの(同項第10号)
重なる場合(16歳未満の本人の顔特徴データ等)子供本人の顔特徴データ等を扱う場合は、両方の規律が関係します。法第35条第7項のうち本人の同意に関する部分(第1号・第2号)は、法第40条の2第1項により「本人」が「本人の法定代理人」に読み替えられます(読替表の一覧)。第9項と第7項のどちらの例外事由がどう適用されるかを含め、両方の規律が重なる場合の扱いは、政令・委員会規則が公布されるまで確定しません。個別の請求に応じるべきかの判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

6. よくある質問

Q1. 「16歳未満」とは、何歳までの人を指しますか。

改正法で設けられる法定の年齢基準で、16歳に達していない本人が対象です。16歳以上は、このページの法定代理人の関与の規律の対象になりません。これまでは法律に年齢の定めがなく、ガイドラインのQ&Aが一般的に12歳から15歳までの年齢以下の子供を目安にしていました(確認日 2026-10-05)。

Q2. 保護者(法定代理人)の関与が必要になるのは、どんな場面ですか。

委員会の概要資料は、利用目的の通知等と、目的外利用・要配慮個人情報の取得・第三者提供の際の同意取得について、本人に代わって法定代理人の関与を義務付けるとしています。ただし、本人が16歳未満であることを事業者が知らないことに正当な理由がある場合など、関与が不要になる例外もあります(確認日 2026-10-05)。個別の場面で関与が必要かどうかの判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

Q3. 保護者の同意があれば、あとで利用停止を求められることはありませんか。

法定代理人の同意を得て取得された保有個人データは、違法行為の有無を問わない緩和された利用停止等請求の例外に挙げられています。ただし、この例外のほかに、詐術により16歳以上と信じさせた場合や、営業を許可された範囲の取得などの例外があり、政令・委員会規則で決まる例外はまだ公布されていません(確認日 2026-10-15)。

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