リスクに適切に対応した規律 / 更新 2026-10-12

特定生体個人情報とは|顔特徴データの定義と3つの規律

出典: 個人情報保護委員会「改正法本文」「改正法の概要」(2026-07-17)、同事務局「政令・規則等で定める事項の全体像」(2026-08-26)、同「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方について①」(2026-09-16)、同「読替表(16歳未満の者の個人情報等の取扱いの規定関係)」(2026-09-16)、同「よくある質問(FAQ)」Q1-13(令和5年5月追加)。改正法本文・改正法ページは2026-10-10、概要・全体像は2026-09-04、基本的な考え方①・読替表は2026-09-21、FAQは2026-09-23に本文を確認。

ノートに書き込む手と、向かいに座る人

特定生体個人情報とは、改正法第16条第5項で新設された、特定生体個人識別符号を含む個人情報です。個人情報保護委員会は、顔特徴データ等が含まれる個人情報を念頭に、新しい規律を説明しています。このページでは、定義と3つの規律、政令・委員会規則でまだ決まっていない範囲を分けて整理します。「顔認証データ」「生体情報」など別の言い方との対応は用語の対応表にあります。

顔特徴データ等との関係 「特定生体個人情報」は改正法の用語です。個人情報保護委員会の資料は、顔特徴データ等が含まれる個人情報を中心に新しい規律を説明しています。ただし、政令で定める対象範囲はまだ確定していないため、2つの語を完全な同義語としては扱いません。
3行で要約
  • 定義: 特定生体個人情報は、政令で定める身体的特徴を変換した特定生体個人識別符号が含まれる個人情報です(法第16条第5項)。顔特徴データ等が中心に想定されています。
  • 3つの規律: 周知の義務付け、オプトアウト制度による第三者提供の禁止、利用停止等請求の要件緩和が設けられます。
  • 施行時期と未確定の範囲: 本体部分は公布の日から2年を超えない範囲内で政令が定める日に施行されます。対象となる身体的特徴の範囲は政令で定められるため、未確定です。

顔特徴データとは

顔特徴データとは、顔の骨格や皮膚の色、目・鼻・口などの位置や形状から特徴情報を抽出し、本人を識別できるようにしたデータのことです(改正法の概要資料の説明。現行施行令第1条第1項ロの個人識別符号に当たる顔の容貌に関するものです)。

  • 身近な例: 顔認証で入退室や勤怠を管理するシステム、顔識別機能付きのカメラ、本人確認書類の画像と顔を照合するオンライン本人確認(eKYC)、顔認証決済などで、顔から特徴情報を作って照合に使う場面です。
  • 顔写真との違い: 顔写真や防犯カメラの映像は、保存しているだけでは顔特徴データではありません。顔から特徴情報を抽出し、本人を識別できる状態にしたときに、顔特徴データに当たります。
  • 未確定の点: 規律の対象となる範囲は政令で定められるため、確定していません。
顔特徴データ・特定生体個人情報・生体データの関係
用語意味このページでの扱い
顔特徴データ顔から抽出した特徴情報で、本人を識別できるようにしたもの規律の対象として中心に想定されているもの
特定生体個人情報特定生体個人識別符号(政令で定める身体的特徴を変換したもの)が含まれる個人情報。改正法第16条第5項の用語規律の名宛てになる法律上の用語。顔特徴データ等が含まれる個人情報を中心に説明されています
顔写真・防犯カメラの映像顔が写っている画像・映像そのもの保存しているだけでは顔特徴データではありません。特徴情報を抽出して本人を識別できる状態にしたときに、顔特徴データに当たります
生体データ顔に限らず、身体の特徴に関する情報を指す一般的な呼び方法律上の規律の対象かどうかは、政令で定める範囲によります。顔以外が含まれるかは未確定です

1. 定義として示されているもの

改正法の概要資料は、規律の対象を次のように説明しています。

「顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状から抽出した特徴情報を、本人を識別することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を識別することができるようにしたもの」を対象に想定する、という案です。

つまり単なる顔写真ではなく、顔から特徴情報を抽出し、本人を識別できる状態にしたデータが対象です。規律を設ける理由として、次の3点が挙げられています。1つ目は、本人が気づかないうちに容易に、したがって大量に入手できること。2つ目は、その人だけに当てはまる性質(一意性)が高く、時間が経っても変わりにくい性質(不変性)が高いこと。3つ目は、特定の個人を識別する効果が半永久的に続くことです。

まだ決まっていないこと法律上、規律の対象となる「特定生体個人情報」は、特定生体個人識別符号(個人識別符号のうち、特別の技術や多額の費用を要しない方法で取得でき、取得されていることを本人が容易に認識できない身体的特徴に係る情報として、政令で定めるものを変換したもの)が含まれる個人情報とされています(法第16条第5項)。政令はまだ公布されていません。2026年9月16日の「基本的な考え方について①」は、次を論点として示しました(決定ではありません)。
① 政令で定める対象として、現行の施行令が個人識別符号として挙げる身体の特徴のうち、顔の骨格・皮膚の色や目鼻口などの位置・形状によって定まる容貌に当たる顔特徴データ(現行施行令第1条第1項ロ)を対象としてはどうか。
② 上のほかに、法律が定める性質(特別の技術や多額の費用を要しない方法で取得でき、本人が取得を容易に認識できないこと)を備え、規律の対象とすべきものがあるか。
概要資料が「想定」として示した上の説明は、政令の文言そのものではありません。顔以外の生体情報が含まれるかどうかは、政令が出るまで確定しません。

2. 特定生体個人情報の規律(新しく設けられる3つ)

概要資料は、顔特徴データ等に対して次の3つの規律を設けるとしています。

顔特徴データ → 特定生体個人情報 → 3つの規律の対応(このページの各節に書いた内容の一覧)
規律何が変わるかまだ決まっていないこと
(1) 周知の義務付け名称・住所・代表者の氏名、特定生体個人情報を取り扱うこと、利用目的、元となった身体的特徴の内容、開示等請求の手続を周知する(法第21条の2)周知方法、法律が列挙した事項に加える周知事項(委員会規則)、法律の3つに加える例外事由(政令)
(2) オプトアウト提供の禁止本人の同意なく届出だけで第三者に提供するオプトアウト制度は、特定生体個人情報には使えなくなる対象となる身体的特徴の範囲(政令)
(3) 利用停止等請求の緩和違法行為等の有無を問わず、保有個人データに含まれる特定生体個人情報の利用停止等を請求できる(例外あり。法第35条第7項)「本人の意思に反しない場合」(委員会規則、同項第9号)、法律の9つに加える例外事由(政令、同項第10号)

3つの規律はいずれも、顔特徴データ等が含まれる個人情報(特定生体個人情報)が対象です。どの身体的特徴まで含まれるかは政令で定められるため未確定です。

(1) 一定の事項の周知の義務付け

次の事項を周知することが義務付けられます。

  • 個人情報取扱事業者の名称・住所・代表者の氏名
  • 特定生体個人情報を取り扱うこと
  • その利用目的
  • 顔特徴データ等の元となった身体的特徴の内容
  • 開示等請求に応じる手続
まだ決まっていないこと周知の方法と、法律が列挙した事項に加える周知事項は委員会規則で定められます(法第21条の2第1項柱書・同項第6号)。周知義務の例外事由のうち法律で定めた3つ(本人等の権利利益を害するおそれがある場合など)に加えるものは政令で定められます(法第21条の2第2項第4号)。規則も政令もまだ公布されていません。2026年9月16日の「基本的な考え方について①」は、次を論点として示しました(決定ではありません)。
① 周知方法は、カメラやセンサー等の機器の周辺に分かりやすく掲示するなど、機器の検知対象者が十分認識できる場所に分かりやすく掲示することが重要ではないか。
② 周知事項は、本人の不安感を和らげ、必要な場合に本人が利用停止等の請求などの対応を取れるようにするために必要な事項としてはどうか。
③ ①②は、令和5年3月の「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」と、それを踏まえたQ&Aの周知方法・周知事項を参考に具体化してはどうか。
④ 法律で定めた3つの例外に加えて、政令で定めるべき例外事由はあるか。
国会審議では、令和8年6月17日の参議院の委員会で国務大臣が、周知の具体的な方法として、カメラを設置する施設の入口に掲示するなど、原則として本人が訪れると想定される場所に掲示しなければならない旨を規定することを想定している、と答弁しています。ただしこれも規則そのものではなく、掲示で足りるのか、ウェブサイトへの掲載も要るのか、どの粒度で書くのかは、規則が出るまで確定しません。

施設内の掲示とウェブサイトに載せる周知事項を並べた表は顔識別機能付きカメラの周知事項の対応表にあります。

(2) オプトアウト制度に基づく第三者提供の禁止

取り扱う情報が特定生体個人情報に当たる場合、本人の同意を得ずに届出だけで第三者に提供するオプトアウト制度は使えなくなります。オプトアウト制度そのものにも別途、提供先の確認を義務付ける改正が入ります(オプトアウト制度の強化)。

(3) 利用停止等請求の要件緩和

本人は、保有個人データに含まれる特定生体個人情報について、違法行為等の有無を問わず利用停止等を請求できるようになります(例外あり)。

まだ決まっていないこと請求の例外事由は、政令で定めるもの(法第35条第7項第10号)と、委員会規則で定める「本人の意思に反しない場合」(同項第9号)に分かれています。どちらもまだ公布されていません。2026年9月16日の「基本的な考え方について①」は、次を論点として示しました(決定ではありません)。
① 規則で定める「特定生体個人識別符号の作成の状況または取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかである場合」(同項第9号)は、目的外利用等の規律緩和の論点と同様でよいか(目的外利用等の規律緩和)。
② 法律で定めた9つの例外事由に加えて、政令で定めるべき例外事由はあるか(同項第10号)。

3. 現行制度と何が違うか

現行の制度では、生体データとしての「個人識別符号」(顔特徴データを含む)も、利用目的を自社のウェブサイトなどに掲載して公表すれば取得できました。令和5年に委員会が「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付カメラシステムの利用について」で掲示の例などを示し、Q&Aに一定の記載はありましたが、法律上の特別な規律はありませんでした。

今回の改正で初めて、法律の条文として、周知の義務・オプトアウト提供の禁止・利用停止等請求の要件緩和という3つの特別な規律が置かれます。

4. いつから

この規律は本体部分に含まれ、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます。実際の施行日は政令で指定されます。決定タイムラインで追記していきます。

5. 自社が該当するかを考える順序

  1. 顔写真や映像を保存しているだけか、そこから特徴情報を抽出して本人を識別しているか。後者であれば規律の対象になりうる。
  2. 識別を行っているのが自社か、委託先(カメラやシステムの提供事業者)か。委託先で行っている場合は、委託先の個人データ取扱いの規律も併せて見る。
  3. 現在の周知の状態(掲示・ウェブサイトへの記載)を書き出しておく。委員会規則で周知方法が示された時点で、差分がすぐ分かる。
  4. オプトアウトの届出をして顔特徴データ等を第三者に提供していないか。取り扱う情報が特定生体個人情報に当たる場合は、施行までに提供方法の見直しが必要になる。
この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会が公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自社の取扱いが規律の対象に当たるかの最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。政令・委員会規則が公布されるまで、上の「まだ決まっていないこと」は確定しません。

6. 子供の顔特徴データ等を扱う場合はどうなるか(法第35条第7項・第9項の関係)

顔特徴データ等の利用停止等請求(法第35条第7項)と、子供〈16歳未満〉の利用停止等請求(法第35条第9項)は、どちらも「違法行為等の有無を問わない」という点で共通し、例外事由の一部を政令・委員会規則に委ねている点も共通します。決まっていることと、これから決まる範囲を条文の号番号で分けると次のとおりです。

顔特徴データ等(第35条第7項)と子供(第35条第9項)の利用停止等請求の対比
顔特徴データ等(第35条第7項)子供・16歳未満(第35条第9項)
法律で決まっていること違法行為等の有無を問わない利用停止等請求権そのもの。例外事由も法律上9類型が列挙されている同左。例外事由は法律上11類型が列挙されている
委員会規則で決まるのを待つ例外特定生体個人識別符号の作成・取得の状況からみて本人の意思に反しないため権利利益を害しないことが明らかな場合(同項第9号)取得の状況からみて子供本人の権利利益を害しないことが明らかな場合(同項第8号)、一定の主体により公開されていた場合の公開主体(同項第9号)
政令で決まるのを待つ例外法律上の9類型に準じる例外事由として追加すべきもの(同項第10号)法律上の11類型に準じる例外事由として追加すべきもの(同項第12号)
重なる場合(16歳未満の本人の顔特徴データ等)顔特徴データ等の本人が16歳未満の子供である場合は、両方の規律が関係します。法第35条第7項のうち本人の同意に関する部分(第1号・第2号)は、法第40条の2第1項により「本人」が「本人の法定代理人」に読み替えられます(読替表の一覧)。第7項と第9項のどちらの例外事由がどう適用されるかを含め、両方の規律が重なる場合の扱いは、政令・委員会規則が公布されるまで確定しません。個別の請求に応じるべきかの判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

7. 防犯カメラ・監視カメラを置いている場合の考え方

店舗や施設に置く防犯カメラ・監視カメラが顔特徴データ等の規律の対象になるかどうかは、撮影した画像から顔特徴データを抽出しているかどうかで分かれます。

(1) 従来型防犯カメラ(顔特徴データの抽出を行わないもの)

撮影した画像から顔特徴データの抽出を行わない従来型の防犯カメラは、このページで整理している顔特徴データ等の規律の対象ではありません。個人情報保護委員会のFAQ「Q1-13」(令和5年5月追加。今回の改正前の現行法についての回答)は、店舗や駅・空港等に従来型防犯カメラを設置し防犯目的で画像を利用する場合の留意点を次のように整理しています。

  • カメラにより特定の個人を識別できる画像を取得する場合は個人情報を取り扱うことになり、利用目的をできる限り特定し、その範囲内で利用する必要がある。
  • 利用目的が防犯目的であることがカメラの設置状況等から明らかな場合は、利用目的の通知・公表は不要と考えられる(法第21条第4項第4号)。
  • カメラにより自らの個人情報が取得されていることを本人が容易に認識できない場合は、容易に認識できるようにする措置(例: 作動中である旨の掲示)を講じる必要がある(法第20条第1項)。

(2) 顔識別機能付きカメラ(顔特徴データを抽出するもの)

撮影した画像から顔の特徴情報を抽出し、本人を識別できる状態にするカメラ(顔識別機能付きカメラ、万引き防止目的の顔認証システムなどを含む)は、このページで整理している顔特徴データ等の規律の対象になりえます。対象になる場合は、次の3つの規律が及びます(上の「2. 新しく設けられる3つの規律」)。周知の義務付け、オプトアウト提供の禁止、利用停止等請求の要件緩和です。

まだ決まっていないこと防犯カメラ・監視カメラにおける具体的な周知の方法(掲示の文言・場所・ウェブサイト掲載の要否等)は委員会規則で定められる予定ですが、まだ公布されていません。2026年9月16日の「基本的な考え方について①」が論点として挙げているのは、カメラやセンサー等の機器の周辺など検知対象者が十分認識できる場所への掲示で、令和5年3月の「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」とそのQ&Aを参考に具体化する案です(上の「2. 新しく設けられる3つの規律」の囲みを参照)。従来型防犯カメラのFAQ「Q1-13」が示す「作動中である旨の掲示」は改正前の現行法についての回答であり、顔識別機能付きカメラの周知義務(法第21条の2)にそのまま当てはまるとは限りません。自社のカメラがどちらに当たるか、規律の対象に当たる場合の対応の判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

8. 用途別の早見: 勤怠管理・入退室管理・オンライン本人確認(eKYC)・無人店舗の顔認証決済

このページで整理している3つの規律が関係するかを確かめる最初の手掛かりは、顔から特徴情報を抽出し、本人を識別できる状態にしているかです。ただし、法律上の対象は政令で定める範囲によって決まります。防犯カメラに限らず、次の業務用途でも同じ順序で確認します。

(1) 勤怠管理(顔認証タイムレコーダー等)

ICカードや指静脈認証ではなく顔認証で従業員の出退勤を打刻する仕組みは、打刻のたびに撮影した顔画像から特徴情報を抽出し従業員本人を識別しているのであれば、顔特徴データ等の規律の対象になりえます。

(2) 入退室管理(オフィス・工場等への社員の入退室)

社員証やICカードの代わりに顔認証でオフィス・工場等への入退室を管理する場合も同じ基準で考えます。業種別入口ページの入退館・入場管理カテゴリは会員・利用者向けの入退館・入場管理を扱っていますが、従業員の入退室管理は対象者が従業員である点が異なるだけで、顔特徴データを抽出して本人を識別しているかどうかという判断の軸は共通します。

(3) オンライン本人確認(eKYC)

本人確認書類の画像と利用者の顔を照合して本人確認を行う手法(eKYCと呼ばれます)も、顔から特徴情報を抽出して本人を識別しているのであれば対象になりえます。カーシェアリング・レンタカー事業者やオンライン資格試験・遠隔監督サービス事業者で扱っている顔認証による本人確認も同じ枠組みに入ります。

(4) 無人店舗の顔認証決済

無人店舗のレジで、事前に登録した顔情報と照合して本人を識別し決済する仕組みも同じ基準で考えます。上の「7. 防犯カメラ・監視カメラを置いている場合の考え方」で扱った顔識別機能付きカメラは店舗側が来店客を受動的に識別する運用ですが、顔認証決済は利用者本人が決済のために顔情報を能動的に登録・利用する点で、周知や同意の取得方法という実務上の論点が異なります。

まだ決まっていないこと勤怠管理・入退室管理・オンライン本人確認・無人店舗の顔認証決済に固有の周知方法や例外事由が、他の用途と別に定められるかどうかは、この時点の資料では示されていません。上の「2. 新しく設けられる3つの規律」に書いたとおり、周知の方法と法律列挙事項に加える周知事項は委員会規則で、周知義務・利用停止等請求の例外事由は政令・委員会規則で定められる予定ですが、まだ公布されていません。自社の仕組みがどの用途に当たるか、規律の対象に当たる場合の対応の判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

9. 3つの規律の決まり具合

顔特徴データ等の3つの規律で、決まっていることと未確定のこと
規律法律で決まっていること未確定のこと
周知の義務付け名称・住所・代表者の氏名、特定生体個人情報を取り扱うこと、利用目的、元となる身体的特徴の内容、開示等請求に応じる手続を周知すること周知の方法と法律列挙事項に加える事項(委員会規則)、例外事由の追加(政令)
オプトアウト提供の禁止特定生体個人情報にはオプトアウト制度による第三者提供が使えないこと特定生体個人情報に含まれる身体的特徴の範囲(政令)
利用停止等請求の要件緩和保有個人データに含まれる特定生体個人情報について、違法行為等の有無を問わず請求できること(例外あり)例外事由のうち、政令で定めるもの(法第35条第7項第10号)と委員会規則で定めるもの(同項第9号)

よくある質問

顔特徴データとは何ですか。

顔の骨格や皮膚の色、目・鼻・口などの位置や形状から特徴情報を抽出し、本人を識別できるようにしたデータです。単なる顔写真ではなく、顔認証などで照合に使える状態にしたものを指します。規律の対象となる範囲は政令で定められるため、確定していません。

特定生体個人情報とは何ですか。顔特徴データと同じですか。

特定生体個人情報は、法律上の用語で、特定生体個人識別符号(政令で定める身体的特徴を変換したもの)が含まれる個人情報です。顔特徴データは、その中心として想定されている例で、両者は完全に同じ意味ではありません。どの身体的特徴が政令で定められるかは確定しておらず、顔以外が含まれるかも未確定です。

顔写真や防犯カメラの映像を保存しているだけでも、顔特徴データ等に当たりますか。

改正法の概要資料は、単なる顔写真ではなく、顔から特徴情報を抽出し、本人を識別できる状態にしたデータを対象に想定しています。抽出を行わない従来型の防犯カメラは、顔特徴データ等の規律の対象ではありません。対象となる範囲は政令で定められるため、確定していません。

周知しなければならない事項は何ですか。

法律は、事業者の名称・住所・代表者の氏名、特定生体個人情報を取り扱うこと、その利用目的、特定生体個人識別符号の元となる身体的特徴の内容、開示等請求に応じる手続を周知事項として列挙しています。周知の方法と、法律が列挙した事項に加える事項は委員会規則で定められる予定で、まだ公布されていません。

オプトアウトの届出をして、顔特徴データ等を第三者に提供していた場合はどうなりますか。

取り扱う情報が特定生体個人情報に当たる場合は、本人の同意を得ずに届出だけで第三者に提供するオプトアウト制度を利用できなくなります。現在この方法で提供している事業者は、施行までに提供方法の見直しが必要です。

いつから義務になりますか。

本体部分に含まれ、公布の日から起算して2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。実際の施行日は、政令で指定されるまで確定しません。

自社の業種での扱いは、業種別の入口ページの各節にまとめています。次の21業種の節で、顔特徴データ等への関わり方を確認できます。

出典