検討の経緯 / 更新 2026-10-01

3年ごと見直しの検討経緯の年表: 2023年の検討開始から2026年7月の成立まで

出典: 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(令和8年7月)の「これまでの検討経緯」。2026-10-01に本文を確認。

ノートパソコンで資料を作成する手元

令和8年の個人情報保護法の改正は、いきなり出てきたものではなく、2023年に始まった「3年ごと見直し」の検討の結果です。いつ、何が公表され、どの段階で課徴金などの項目が絞られたのかを、委員会事務局の資料に載っている日付の順に並べます。この年表は、過去の改正がどう議論されたかを知るためのものです。これから決まる政令・規則の予定は、決定タイムラインで追っています。

決定タイムラインとの使い分けこの年表は「成立までの検討の経過」(2023年11月〜2026年7月17日の公布)です。公布後に政令・規則で決まった内容(2026年8月以降の公表)は、政令・規則の決定タイムラインにあります。法案の閣議決定・成立・公布の3行は、確認のため両方に載せています。

1. 3年ごと見直しとは

令和2年の改正法(令和2年法律第44号。全面施行は2022年4月1日)の附則には、政府は施行後3年ごとに、国際的な動向や情報通信技術の進展などを考えて、個人情報保護法の施行の状況を検討し、必要があれば措置を講ずる、という規定がありました。令和8年の改正は、この規定に基づく見直しです。

なお、令和8年の改正法の附則にも、施行後3年ごとに施行の状況を検討する規定が置かれています。あわせて、令和2年の改正法の附則にあった「3年ごとに」は「を目途として」に改められました(改正法附則第14条・第16条)。令和2年の改正法の附則の改正は、公布の日(2026年7月17日)に施行されています。

2. 検討経緯の年表

個人情報保護委員会事務局の資料に載る検討経緯(日付は公表日または実施日)
日付出来事
2023年9〜10月「改正個人情報保護法の施行状況について」を公表
2023年11月15日「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討」を公表。11月下旬から関係団体等へのヒアリングを順次実施
2024年2月21日「いわゆる3年ごと見直し規定に基づく検討項目」を公表。4月上旬から有識者ヒアリングを順次実施
2024年6月27日「検討の中間整理」を公表(7月29日まで意見募集)
2024年9月4日中間整理に関する意見募集の結果と、今後の検討の進め方を公表
2024年10月16日「検討の充実に向けた視点」を公表
2024年12月17日事務局ヒアリング(有識者、経済団体・消費者団体)の状況報告
2024年12月25日「いわゆる3年ごと見直しに関する検討会 報告書」を公表
2025年1月22日今後の検討の進め方について公表
2025年2月5日「制度的課題に対する考え方(案)」(個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方)を公表
2025年2月19日「制度的課題に対する考え方(案)」(個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在り方)を公表
2025年3月5日「制度的課題に対する考え方について」と、「今後の検討の進め方」に寄せられた意見の概要①を公表
2025年4月16日「今後の検討の進め方」に寄せられた意見の概要②を公表
2025年6月13日「経済財政運営と改革の基本方針2025」「デジタル社会の実現に向けた重点計画」「データ利活用制度の在り方に関する基本方針」などを閣議決定
2025年12月24日第12回デジタル行財政改革会議を開催
2026年1月9日「いわゆる3年ごと見直しの制度改正方針」を公表
2026年4月7日「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定
2026年5月21日衆議院の特別委員会で附帯決議(14項目)
2026年7月8日参議院の特別委員会で附帯決議(14項目)
2026年7月10日第221回国会で改正法が成立
2026年7月17日公布

年表のうち、2023年〜2026年7月10日の行は委員会事務局の資料の「これまでの検討経緯」の記載です。附帯決議の日付は、委員会の「今後の取組について」に載る全文から、公布の日付は本サイトの他ページと同じ委員会の資料から引いています。2024年12月25日の報告書の欄には、資料に「中間整理で掲げた検討事項のうち、課徴金制度及び団体による差止請求・被害回復制度について検討」という注記があります。

3. 三つの時期に分けて読む

  • 2023年〜2024年: 論点を洗い出した時期。施行状況の公表、検討項目の公表、ヒアリング、中間整理(意見募集つき)の順に進みました。2024年12月の報告書では、中間整理で挙げた項目のうち課徴金制度と、団体による差止請求・被害回復制度が検討の対象として示されています。
  • 2025年: 考え方を固めた時期。2月に、本人関与に係る規律と、取扱いの態様の多様化に伴うリスクに対応した規律の2つの面で「考え方(案)」が出され、3月に「考え方」として公表されました。6月には、政府の基本方針などが閣議決定されています。
  • 2026年: 法案化と成立の時期。1月の「制度改正方針」、4月の閣議決定を経て、7月に成立しました。

4. 政府方針に書かれていた検討事項と、本サイトの記事

2025年6月13日に閣議決定された「規制改革実施計画」は、個人情報保護委員会が結論を得しだい速やかに法案を国会に提出する事項として、「本人からの同意取得規制の在り方と必要なガバナンスの在り方」の例に次の3つを挙げています(事務局資料の引用による)。あわせて、同法の確実な遵守を担保するため必要とされる事後的な規律を一体的に整備するとしています。

規制改革実施計画(2025年6月13日閣議決定)の記載と、本サイトの記事
計画に書かれた検討事項関係する本サイトの記事
統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合の、本人同意の在り方統計作成等の特例とは
公衆衛生の向上等のために個人情報を取り扱う場合における、同意取得困難性要件の在り方生命等の保護・学術研究例外とは
病院等による学術研究目的での個人情報の取扱いに関する規律の在り方生命等の保護・学術研究例外とは
同法の確実な遵守を担保するために必要とされる事後的な規律の一体的な整備課徴金制度とは、勧告・命令・緊急命令の要件の改正前後、データベース等不正提供罪の法定刑

同じ日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」は、課徴金、命令、罰則等の様々な手法について、実効性や経済活動への不当な萎縮効果を避ける観点を含め、全体としてバランスの取れた形での改正案を早期に結論を得て提出することを目指すとしています。右の列は、計画の文言と記事の題材が重なる範囲を編集部が対応づけたものです。委員会が公式に対応づけたものではありません。

5. 検討されたが、改正法に入らなかったもの

2024年12月の報告書の時点では、課徴金制度と並んで、団体による差止請求・被害回復制度も検討の対象でした。しかし、改正法の条文には、この制度は盛り込まれていません。国会は、衆議院・参議院の両方で「導入に向けた検討を引き続き行うこと」と、政府に求める附帯決議を付けています。詳しくは、団体訴訟制度が改正に入ったかを整理した団体訴訟制度(差止請求・被害回復)のページを参照してください。附帯決議は、政府に運用上の配慮を求める国会の意思表示で、政令・規則の内容を決めるものではありません。附帯決議14項目の全体は政令・規則の整備プロセスにまとめています。

6. この年表の使い方

  1. 自社に関係する項目が、いつの段階で論点に挙がったかを年表で確かめる(例: 課徴金は2024年12月の報告書の段階で検討対象に入っている)。
  2. 該当する時期の委員会資料(検討項目、中間整理、報告書、制度改正方針)を、委員会のページで開いて本文を読む。意見募集の結果は、各資料の付属資料として公表されています。
  3. 成立後に決まる政令・規則・ガイドラインの予定は、決定タイムラインとまだ決まっていないこと一覧で確認する。
この記事の位置づけここに書いたのは、委員会事務局の資料に載る検討経緯の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。各資料の内容そのものの要約は含みません。内容は、委員会が公表する原文で確認してください。

よくある質問

「3年ごと見直し」とは何ですか。

令和2年の改正法(令和2年法律第44号)の附則にあった、政府は施行後3年ごとに個人情報保護法の施行の状況を検討し、必要があれば措置を講ずるという規定です。令和8年の改正は、この規定に基づく見直しです。

年表の日付は、何の日付ですか。

公表日または実施日です。2023年から2026年7月10日までの行は、委員会事務局の資料「これまでの検討経緯」の記載です。附帯決議の日付は委員会の「今後の取組について」に載る全文から、公布の日付は委員会の他の資料から引いています。

検討されたが、改正法に入らなかったものはありますか。

団体による差止請求・被害回復制度です。2024年12月の報告書の時点では検討の対象でしたが、改正法の条文には盛り込まれていません。国会は衆議院・参議院の両方で、導入に向けた検討を引き続き行うことを政府に求める附帯決議を付けています。

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