令和8年改正には11のテーマがあり、該当性チェックで自社に関係する項目を絞り込めます。ただし「どの質問から答えればよいか分からない」という声もあるため、ここではECサイト運営者・クリニック等の医療提供機関・学習塾等の子ども向けサービス・営業リスト等のマーケティング事業者・士業事務所という5つの業種を入口に、それぞれがまず見ておくとよい3テーマを整理します。
このページの範囲ここに書いているのは、業種ごとに関係しうる可能性が高いテーマの一般的な傾向です。自社が実際に該当するかどうかの判定ではありません。正確な絞り込みは該当性チェックをご利用いただき、最終的な該当性・対応の要否は顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。
1. ECサイト運営者・通販事業者
顧客の氏名・連絡先・購入履歴など個人データを大量に保有し、配送・決済代行など外部委託も多い業種です。まず見ておくとよいのは次の3テーマです。
- 課徴金制度: 対象となる違反行為には「対象行為に係る本人の数について1,000人を基準とする」大規模事案という限定要件があります。顧客数の多いECサイトは、この人数規模に達しているかをまず確認する意味があります。
- 漏えい等報告・本人通知義務の緩和: 保有する顧客データの件数が多いほど、漏えい等が起きた際の報告・本人通知の負担も大きくなります。緩和・簡素化される範囲を確認しておく意味があります。
- 委託先における個人データ等の適正な取扱い: 配送・決済・カスタマーサポート等を外部委託している場合、委託先としての新しい義務・免除規定の対象になり得ます。
2. クリニック等の医療提供機関
病歴・健康情報など要配慮個人情報を扱い、研究機関との連携もありうる業種です。まず見ておくとよいのは次の3テーマです。
- 生命等の保護・公衆衛生向上での同意取得困難性要件の緩和/学術研究機関等への医療提供機関の明示: 医療の提供を目的とする機関・団体が学術研究例外の対象に含まれることが明示される、医療提供機関に直接関係するテーマです。
- こどもの個人情報(16歳未満): 小児科等、16歳未満の患者の個人情報を取り扱う場合に関係します。
- 漏えい等報告・本人通知義務の緩和: 健康情報を含むデータの漏えい等が起きた場合の報告・通知の扱いを確認しておく意味があります。
3. 学習塾等の子ども向けサービス
16歳未満の子どもの個人情報や、保護者の連絡先情報を扱う業種です。まず見ておくとよいのは次の3テーマです。
- こどもの個人情報(16歳未満): 16歳未満の子どもが本人である場合の法定代理人の関与、利用停止等請求の要件緩和など、この業種に直接関係するテーマです。
- 連絡可能個人関連情報の不適正利用・不正取得の禁止: 保護者への連絡先(電話番号・メールアドレス等)を多く保有する業種として、不適正利用・不正取得の禁止規定を確認しておく意味があります。
- 漏えい等報告・本人通知義務の緩和: 子どもの個人情報が含まれるデータの漏えい等における報告・通知の扱いに関係します。
4. 営業リスト・名簿を扱うマーケティング事業者
名簿の第三者提供やオプトアウトの届出を行う業種です。まず見ておくとよいのは次の3テーマです。
- オプトアウト制度の強化: オプトアウト届出事業者(名簿屋等)を対象に、第三者提供時の提供先の身元・利用目的の確認義務が新設される、この業種に直接関係するテーマです。
- 連絡可能個人関連情報の不適正利用・不正取得の禁止: 電話番号・メールアドレス等を含む名簿・リストの取扱いに関係します。
- 課徴金制度: 対象4類型には第三者提供の制限違反も含まれており、名簿の提供方法によっては関係しうるテーマです。
5. 士業事務所(税理士・社労士・行政書士等)
顧客企業から個人データの取扱いを委託されることが多い業種です。まず見ておくとよいのは次の3テーマです。
- 委託先における個人データ等の適正な取扱い: 顧客企業からの委託を受けて個人データを取り扱う立場として、委託先としての新しい義務・免除規定に直接関係するテーマです。
- 漏えい等報告・本人通知義務の緩和: 委託を受けて取り扱うデータで漏えい等が起きた場合の報告・通知の扱いに関係します。
- 目的外利用・要配慮個人情報取得・第三者提供の規律緩和: 契約の履行に伴う第三者提供(例: 業務の一部を他の専門家へ取り次ぐ場合)に関係しうるテーマです。
6. どれにも当てはまらない場合・複数に当てはまる場合
ここに挙げた5業種はあくまで代表例であり、実際の事業は複数の業種にまたがることも、いずれにも当てはまらないこともあります。その場合は該当性チェックで7つの質問に直接答える方法をおすすめします。入力内容は送信・保存されず、ブラウザの中だけで処理されます。
この記事の位置づけ業種による絞り込みは、どのテーマから読み始めるとよいかの一般的な目安であり、自社が対象になるかどうかの個別の判定ではありません。最終的な該当性・対応の要否は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。