施行の経過措置 / 更新 2026-10-01

施行前に取った同意・通知は新法で有効か: 附則の経過措置

出典: 改正法の本文(個人情報保護委員会が公開する法律本文PDF)の附則。2026-10-01に本文を確認。

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改正法の本体部分が施行される前に本人や保護者から取った同意、出しておいた通知は、施行後にやり直す必要があるのか。附則(法律の末尾にある、施行の日付や切り替えの扱いを定める部分)は、一定の同意・通知を新法のものと「みなす」と定めています。一方で、課徴金や命令は施行前の違反には及ばないと定めています。この2つを、条文の順に整理します。

1. 結論: 附則が定める4つの経過措置

  • 同意・通知のみなし: 施行前に取った同意や出した通知のうち、新法の同意・通知に当たるものは、新法の同意・通知があったものとして扱われます(附則第4条〜第6条)。
  • 施行前に本人から取った同意: 旧法の規定に基づいて施行前に本人から取った同意は、新法で読み替えて適用される規定(16歳未満の本人について本人の法定代理人に読み替える規定)の、本人の法定代理人の同意があったものとして扱われます(附則第5条第2項)。
  • 勧告・命令・課徴金: 勧告・命令は、施行日前の違反行為にはなお従前の例によります。課徴金は、施行日以後に行われた課徴金対象行為について適用されます(附則第7条・第8条)。
  • ここに書かれていない経過措置: 政令で定められます(附則第13条)。

なお、ここでいう「施行日」は、改正法の本体部分が施行される日で、公布の日(2026年7月17日)から2年を超えない範囲で政令が定める日です。日付はまだ決まっていません。

2. 施行前の同意・通知が新法でどう扱われるか(附則第4条〜第6条)

「みなす」とは、実際には新法の手続で取ったものではなくても、法律のうえでは取った(出した)ものとして扱う、という意味です。みなしの対象と条件を表にまとめます。

施行前の同意・通知のみなし規定(附則第4条〜第6条)
附則施行前にしていたこと施行後の扱い条件
第4条第1項顔特徴データ等(特定生体個人情報)の周知事項(法第21条の2第1項各号)に相当する事項を、本人に通知していたその通知は、同項の規定により行われたものとみなす周知事項に「相当する」事項であること
第4条第2項特定生体個人識別符号に相当する符号の作成、または特定生体個人情報に相当する情報の取得について、本人の同意を得ていた法第35条第7項第1号・第2号の同意(法第40条の2第1項による読替え後の規定を含む)があったものとみなすその同意が、同項第1号・第2号の同意に「相当する」ものであること
第5条第1項本人の法定代理人が、個人情報や個人関連情報の取扱いに同意していた新法の各規定(16歳未満の読替え後の規定を含む)の、法定代理人の同意があったものとみなすその同意が、新法の各規定の同意に「相当する」ものであること
第5条第2項旧法の規定に基づいて、本人から同意を得ていた(旧法第18条第1項・第2項、第20条第2項、第27条第1項、第28条第1項、第31条第1項第1号、第69条第2項第1号、第71条第1項)それぞれ、新法で読み替えて適用される規定の、本人の法定代理人の同意があったものとみなす附則に「相当する」という条件は書かれていない
第6条第1項16歳未満の本人に読み替えて適用される規定(法第21条の2第1項各号、第27条第2項各号、第27条第5項第3号)の事項に相当する事項を、本人の法定代理人に通知していたその通知は、各規定により行われたものとみなす事項に「相当する」ものであること
第6条第2項旧法第27条第2項または第5項第3号の規定に基づいて、本人に通知していたそれぞれ、読み替えて適用される規定による、本人の法定代理人への通知があったものとみなす附則に「相当する」という条件は書かれていない

読み取れること:

  • 顔特徴データ等と16歳未満の保護者に関する同意・通知は、施行前のものを救う規定が置かれています。
  • 第5条第2項と第6条第2項は、施行前の「本人への同意・通知」を、新法の「法定代理人への同意・通知」として扱う規定です。その趣旨は附則には書かれていませんが、16歳未満の本人に読み替える新法の規定に合わせて、施行前に取ってあった同意・通知を引き継ぐ規定と読めます(編集部の読み取りです)。
  • 条件として「相当する」と書かれている規定(第4条、第5条第1項、第6条第1項)で、どこまでが「相当する」に当たるかは、附則には書かれていません。基準が示されるかどうかは、政令・規則・ガイドラインの公表を待つことになります。

3. 勧告・命令・課徴金は施行前の違反に及ぶか(附則第7条・第8条)

違反行為の時期と適用される制度(附則第7条・第8条)
制度施行日以後の行為施行日前の行為
勧告・命令(改正後の法第148条第1項〜第3項)改正後の法に違反する行為について適用する旧法に違反する行為は、なお従前の例による(改正後の規定は適用しない)
課徴金納付命令(改正後の法第148条の3〜第148条の16)法第148条の4に規定する課徴金対象行為について適用する附則は「施行日以後に行われた課徴金対象行為について適用する」と定めるだけで、施行日前の行為についての規定は置いていない(課徴金は旧法にない制度のため、「従前の例による」とは書かれていない)

勧告・命令の改正内容は勧告・命令・緊急命令の要件の改正前後、課徴金の対象は課徴金制度とはで扱っています。

施行日をまたぐ行為について附則第7条・第8条は「施行日以後に行われた」行為と書くだけで、施行日の前後にまたがって続く行為をどう数えるかは書いていません。この点は、政令(附則第13条)やガイドラインで示されるかを確認する必要があります。

4. 日付が異なる規定(2027年1月17日から施行日の前日まで)

改正法は、罰則などの一部を公布の日から6か月を経過した日(2027年1月17日)に施行します(附則第1条第3号)。この日から本体の施行日の前日までの間は、条文の読み方を一部調整する規定があります。

  • 公示送達(行方不明などで書類を直接渡せないときに、役所の掲示などで送達したことにする手続): 改正後の法第163条第2項・第3項は、2027年1月17日以後にする公示送達に適用されます。それより前にした公示送達は従前どおりです(附則第2条)。
  • 罰則の読み替え: 2027年1月17日から施行日の前日までは、罰則の法第181条中の「措置命令」が「第148条第2項又は第3項の規定による命令」に、第186条第1号中の「第27条第8項、第30条第2項」が「第30条第2項」に読み替えられます(附則第3条)。この読み替えの趣旨は附則に書かれていません。

罰則そのものの内容はデータベース等不正提供罪の法定刑、日付の全体像は事業者側の準備スケジュールにあります。

5. 附則に書かれていないこと

  • 「相当する」の基準: 施行前の通知・同意が新法のものに「相当する」と認められる条件は、附則に書かれていません。
  • 施行日をまたぐ行為の扱い: 上のとおり、附則は施行日以後の行為と施行日前の行為を分けるだけです。
  • その他の経過措置: 附則第2条から第12条に定めるもののほか、施行に必要な経過措置(罰則に関するものを含む)は政令で定めるとされています(附則第13条)。追加の経過措置が政令で示される可能性があります。
  • 番号法・医療分野の匿名加工医療情報等法: 同じ趣旨のみなし規定と、施行日以後の違反行為への適用の規定が、番号法について(附則第9条・第10条)、匿名加工医療情報等法について(附則第11条・第12条)置かれています。本サイトではこの2つの法律を対象にしていません。

6. 自社で確認する順序

  1. 施行前に取得した同意と、出した通知の種類を書き出す(本人からの同意、保護者からの同意、オプトアウトなどの通知)。
  2. 16歳未満の本人が含まれうるサービスか、顔特徴データ等を扱うかを確認する。該当する場合は、附則第4条〜第6条の対象になりうるので、表のどの行に当たるかを当てはめる。
  3. 「相当する」が条件の行は、基準が示された時点で、手元の同意・通知が条件を満たすかを見直す。
  4. 課徴金・命令は施行日以後の行為が対象なので、施行日が政令で決まった時点で、その日以後に続ける取扱いを点検の対象にする。
この記事の位置づけここに書いたのは、改正法の附則の文言の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。条文の要約は読みやすさのために文言を縮めています。実際の判断は、法律本文と、今後公表される政令・規則・ガイドラインで確認してください。

7. よくある質問

Q1. 施行前に取った同意は、施行後に取り直す必要がありますか。

附則は、施行前に取った同意のうち新法の同意に「相当する」ものを、新法の同意があったものとみなすと定めています(附則第4条・第5条)。ただし「相当する」かどうかの基準は附則に書かれておらず、政令・規則・ガイドラインで示されるかは未確定です。個別の同意が当たるかの判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください(確認日 2026-10-01)。

Q2. 課徴金は、施行日より前の違反にもかかりますか。

附則第8条は、課徴金を施行日以後に行われた課徴金対象行為について適用すると定めています。施行日前の行為についての規定は置かれていません。勧告・命令は、施行日前の違反行為にはなお従前の例によります(附則第7条)。施行日をまたいで続く行為の数え方は、附則に書かれていません(確認日 2026-10-01)。

Q3. 附則に書かれていない経過措置は、どこで決まりますか。

附則第2条から第12条に定めるもののほか、施行に必要な経過措置(罰則に関するものを含む)は政令で定めるとされています(附則第13条)。この政令はまだ公布されていません(確認日 2026-10-15)。

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