研修の組み立て / 更新 2026-10-19

従業員向け研修で令和8年改正を扱う組み立て(対象者3区分×決まっていること・未確定)

出典: 個人情報保護法第23条・第24条(e-Gov)、委員会ガイドライン通則編 別添、改正法本文、委員会事務局の公表資料(2026-07-31〜10-14)。2026-10-15に確認。

ノートパソコンで資料を作成する手元

研修で改正を伝えるときは、「法律で決まったこと」と「政令・規則待ちで未確定のこと」を分けて、対象者ごとに伝える範囲を変えます。従業者への教育は現行法のもとでも求められており、改正が決まったからではなく、すでにある研修に改正の状況を足す形になります。このページは、全従業員・個人データの取扱担当・委託先を管理する担当者の3区分で、何を伝え、何を「未確定」として伝えるかを表にしたものです。

このページの範囲と、別ページとの違い個人情報の取り扱い周知の要点は、持ち出し・誤送信・不審なアクセスの3場面で、全従業員に配る周知文の材料です。このページは、研修の場で改正を扱うときの対象者の分け方と、決定状況の伝え方を扱います。研修の教材や講師の台本は作りません。
従業員・応募者・退職者の情報と改正は、従業員などの情報そのものが改正のどの項目に関係するかを整理したページです。3ページを読み分けるなら、周知文の材料は周知の要点、従業員の情報の扱いは従業員・応募者・退職者のページ、研修をどう組むかはこのページです。

1. 従業者の教育は、現行のガイドラインにも書かれている

従業者の教育に関する現行の定め(改正前から)
定め書かれていること出典
法第24条(従業者の監督)個人データを従業者に取り扱わせるときは、安全管理が図られるよう、従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないe-Gov法令検索(個人情報保護法)
法第23条(安全管理措置)漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないe-Gov法令検索(個人情報保護法)
ガイドライン通則編 別添「人的安全管理措置」「従業者の教育」として、従業者に個人データの適正な取扱いを周知徹底するとともに適切な教育を行わなければならないとし、手法の例示に「個人データの取扱いに関する留意事項について、従業者に定期的な研修等を行う」「秘密保持に関する事項を就業規則等に盛り込む」を挙げる。中小規模事業者の例示も同じ委員会ガイドライン(通則編)

つまり研修そのものは改正で新設されたものではありません。改正で増えるのは、研修で扱う中身です。ただし中身の多くは政令・委員会規則・ガイドラインが決まっていないため、研修資料に確定した事実として書けるものは限られます。

2. 対象者別に、伝えることと「未確定」として伝えること

決定状況は、まだ決まっていないこと一覧の2026-10-14時点のものです(12論点のうち、政令・規則の公布が確認できたものは0件)。

対象者別の研修で扱う項目
対象者決まっていること(伝えてよい)未確定(確定として伝えない)詳しい材料
全従業員改正法は2026年7月17日に公布された。罰則関係の規定は2027年1月17日に施行される。従業者や退職者による個人情報データベース等の不正な提供・盗用の罰則が改正される(損害を加える目的も対象に加わる)。現行の持ち出し・誤送信・不審なアクセスの注意本体部分(課徴金、こどもの個人情報、顔特徴データ等など)の施行日。政令で定める日で、2026-10-15時点で未公布罰則/周知の要点(3場面)
個人データの取扱担当(顧客対応・人事・営業・開発など)16歳未満という年齢基準が法律で新設されること。顔特徴データ等について一定の事項の周知が義務付けられること。現行の取扱規程に沿った運用16歳未満の通知・同意の実務、顔特徴データ等の周知の具体的な方法、漏えい等報告の緩和範囲。いずれも委員会事務局の資料で見通しが示された段階で、決定ではないこどもの個人情報/顔特徴データ等/漏えい等報告・通知
委託先を管理する担当者(購買・情シス・事業部門)委託先における個人データ等の適正な取扱いについて、改正法で規律が置かれること。現行の委託先の監督(法第25条)委託先の義務の細目、契約に定める事項。委員会規則の検討待ちで、決定ではない委託先の取扱い/委託先契約の3論点

表の「決まっていること」は、改正法本文と、委員会が公表した資料を各テーマの記事で確認した内容です。自社の従業者にどこまで伝えるか、研修で何をもって「周知した」とするかは、顧問弁護士に確認してください。

3. 研修資料での決定状況の書き方

研修資料に決定状況を載せるときは、1つの項目を次の3行で書くと、未確定が確定のように読まれるのを避けられます。

  1. 決まっていること: 法律本文に書かれたこと。条文と公布日を添える
  2. まだ決まっていないこと: 政令・規則・ガイドライン待ちの事項。「委員会事務局の案」「見通し」と書かれたものは、決定ではないと明記する
  3. 確認先: 次に確認する資料と、確認する人(社内の窓口)。委員会の公表を追う担当者は決定タイムラインで追える
研修の計画に書き込む欄(社内の担当者が記入)
項目記入欄備考
対象者と人数
実施時期(政令・規則の公布前/公布後/ガイドライン公表後のどれか)
研修資料の確認日と、確認した一次資料
未確定として伝えた項目
受講の記録の保管場所

4. 時期の目安

準備の順序は事業者側の準備スケジュールのとおり、「今(政令・規則の公布前)」「公布後」「ガイドライン・Q&A公表後(施行直前)」です。研修資料への反映をガイドライン・Q&A公表後に置くのは、このサイトの準備スケジュールの整理で、委員会の工程表に研修の項目があるわけではありません。委員会の工程表が示すのは、政令・規則、ガイドライン、Q&Aの公表の順序で、公表の月日は示されておらず、「現時点での大まかな見込み」と注記されています。現時点で確定している期限は2027年1月17日だけです。

5. 研修1回分の進行表の例

次の表は、全従業員向けに1回45分で行う場合の進行表の例です。時間配分は本サイトの整理で、委員会やガイドラインが研修の時間や回数を定めているわけではありません。「使う資料」は、このサイトの該当ページと一次資料です。

研修1回分の進行表の例(全従業員向け・45分)
時間内容使う資料
0〜5分従業者への教育は現行法のもとでも求められていること、改正を理由に研修が新しく義務化されたとは確認していないことを伝えるガイドライン通則編 別添/本ページの1節
5〜15分現行の注意: 持ち出し、誤送信、不審なアクセスの3場面個人情報の取り扱い周知の要点
15〜25分決まっていること: 2026年7月17日公布、2027年1月17日に罰則関係が施行。従業者や退職者による不正な提供の罰則の改正2027年1月施行の罰則/期限の暦
25〜35分まだ決まっていないこと: 本体部分の施行日、政令・規則の中身。「案」「見通し」は決定として伝えないまだ決まっていないこと一覧
35〜45分確認テスト(次節の5問)と、質問先(社内の窓口)の案内次節の確認テスト

個人データの取扱担当や委託先の管理担当には、2節の表の「未確定」の行を足して、別の回にします。

6. 確認テストの例(5問)

決定状況を取り違えていないかを確かめる、〇×形式の例です。答えは2026年10月19日時点の、このサイトの確認内容に基づきます。政令・規則の公布で答えが変わりうるものは、その旨を付けています。

確認テストの例と答え
問答え根拠
1. 令和8年改正により、従業者への個人情報の研修は初めて義務になった。×。従業者の教育は改正前のガイドラインにも書かれている。改正を理由に研修が新たに義務化されたとの記載は確認していないガイドライン通則編 別添、法第23条・第24条
2. 罰則関係の規定は、2027年1月17日に施行される。〇。法律で定まっている改正法本文、罰則のページ
3. 政令・委員会規則はすべて公布され、細かい運用が確定している。×。2026年10月14日時点で、12論点のうち公布が確認できたものは0件。公布で状況は変わりうるまだ決まっていないこと一覧
4. 本体部分(課徴金、こどもの個人情報、顔特徴データ等など)の施行日は決まっている。×。政令で定める日とされ、2026年10月15日時点で未公布改正法本文、委員会の改正法のページ
5. 16歳未満の人への通知や同意の実務の細目は、委員会事務局の資料どおりに確定した。×。事務局の資料は見通しを示した段階で、決定ではないこどもの個人情報
この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会などが公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自社への当てはまりと対応の要否は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

よくある質問

改正を理由に、新しく研修を実施する義務が生まれましたか。

ここで確認したのは、ガイドライン通則編が従業者への適切な教育を求め、手法の例示に定期的な研修等を挙げていることです。改正を理由に研修の義務が新設されたことは、確認した一次資料には書かれていません。自社に必要な研修の内容と頻度は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

政令・規則が決まる前に、改正の研修をしてよいですか。

決まっていることと未確定のことを分けて伝えるなら、公布前に実施できます。未確定の項目を確定した対応として伝えると、公布後に内容が変わったときに研修をやり直すことになります。

研修の受講記録は残すべきですか。

ガイドラインは取扱状況の把握と、運用確認のための記録を挙げていますが、受講記録の様式は定めていません。残し方は改正対応の記録簿の項目を参考に、自社で決めてください。

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