リスクに適切に対応した規律 / 更新 2026-10-08

委託先の義務免除で契約に定める事項の3論点(規則は未確定)

出典: 個人情報保護委員会事務局「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方について②」(2026-10-01)。2026-10-02に本文を確認。

契約書を差し出す手と、向かいで手を組む人

データ入力など、委託元の指示どおりに機械的に作業するだけの委託先は、委託契約に必要な事項を書いておけば、個人情報取扱事業者としての義務が原則免除される予定です。その「必要な事項」を何にするかが、委員会規則の検討課題です。事務局が示した3つの論点と候補の項目を、決まっていないことと分けて書きます。

最初に確認することここに載せる項目は、事務局が検討のたたき台として「定めておく必要があるのではないか」と問いかけた候補です。委員会の決定でも、公布された規則でもありません。契約書の雛形を今から固める根拠にはなりません。

1. 何についての論点か

委託先の義務免除は、改正法に新しく入る規定(法第58条の2)です。免除を受けるには、委託契約で次の3点が定められている必要があります。免除の対象になるのは、委託を受けた業務に必要な範囲で、契約の定めに従って取り扱う場合です。

  1. 個人情報等の取扱いの方法として、委員会規則で定める事項
  2. 委託先で漏えい等が起きたとき、業務に必要な範囲を超えて取り扱ったとき、契約の定めに違反して取り扱ったときに、委託先がすぐ委託元へ報告すること
  3. そのほか委員会規則で定める事項

このうち1と3の中身、および契約を結ぶ方法は、委員会規則で決まります。事務局は、委託元が取扱いの方法を指示し、専ら委託元の責任で法の規律が守られる状態にできるなら、委託先にまで全ての義務を重ねて課す必要はない、という考え方を示しています。一方で、個人の権利利益に影響しない細かな事項まで委託先が自分で判断することは、当然に想定されるとしています。

制度の全体像(委託先に課される義務、免除の前提、施行時期)は委託先の個人データ取扱いにまとめています。

2. 事務局が示した3つの論点

論点1 契約に定める「取扱いの方法」は何か

事務局は、次の4項目を定めておく必要があるのではないか、と問いかけています。

候補の項目資料に添えられた補足
対象となる個人情報等その項目等を含む
行われる処理の内容(取得・保存・評価・加工・提供・消去等)取得や提供を行う場合は取得先・提供先を含み、評価や加工を行う場合はその基準を含む
取扱いの始期と終期(補足なし)
取扱いが行われる国または地域外国で取り扱うかどうか、取り扱う場合はその国の名称を想定

あわせて、これ以外に定めるべき事項があるか、各項目をどの程度まで細かく特定させるか、も検討課題として挙げています。

論点2 契約の方法をどうするか

事務局は、内容をはっきり特定して記録に残すため、書面(電磁的記録を含む)で定める方法としてはどうか、としています。定めるべき事項をあらかじめ全て書面に書く場合のほか、一部を、契約に基づいて委託元が別の書面で特定する場合も含める想定です。

論点3 そのほか契約に定める事項は何か

事務局は、次の6項目を定めておく必要があるのではないか、と問いかけています。

  • 委託を受ける業務の内容
  • 取扱いに関する記録を作り、委託元に提供すること
  • 安全管理のために講じた措置の情報を委託元に提供すること
  • 漏えい等の事案が起きたとき、委託元が適切に対応するために必要な事項を報告すること(例として、委託元が委員会へ漏えい等の報告をするために必要な情報等が挙げられています)
  • 委託元の求めに応じて、個人情報等の取扱いを停止すること等
  • 委託が終わったときに、個人情報等を返すか消去すること

これ以外に、委託先の取扱状況を委託元が正確につかむために必要な事項や、委託元の責任で法の規律を守るために必要な事項があるか、も問われています。

3. 決まっていること・案の段階・未確定のこと

区分内容
改正法で決まっている契約で一定の事項を定めれば委託先の義務が原則免除されること。契約に定める事項の大枠(取扱いの方法、委託元への報告、そのほか規則で定める事項)。契約の方法は規則で定めること
事務局の案(問いかけ)上の論点1〜3の候補項目。書面(電磁的記録を含む)で定める方法
未確定委員会規則の条文。候補のうち実際に入る項目。各項目をどこまで特定するか。施行日(公布から2年以内に政令で定める日)

規則の案が示された時点で、この表を更新します。

4. 準備として確認できること

個別の判断はできませんが、規則が確定する前でも、現在の契約を点検する観点は示せます。

  1. 委託している業務のうち、委託先が委託元の指示どおりに機械的に処理するだけのものと、委託先が取扱いの方法を自分で決めているものを分けて把握する。免除の対象になりうるのは前者です。
  2. 現在の契約書に、対象データの項目、処理の内容、期間、取り扱う国が書かれているかを確認する。上の論点1の候補と重なる部分です。
  3. 漏えい等が起きたときの委託先から委託元への報告の手順と期限が、契約書や運用で決まっているかを確認する。ここは法律の条文に入っている事項です。
  4. 最終的な契約の条項は、規則が公布されてから、顧問弁護士や個人情報保護委員会に確認する。
この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会事務局が公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。契約の内容が免除の要件を満たすかどうかは、規則の公布後に、顧問弁護士や個人情報保護委員会へ確認してください。

よくある質問

委託先の義務が免除されるには、契約に何を定める必要がありますか。

改正法に新しく入る規定(法第58条の2)は、契約で次の3点が定められていることを求めています。取扱いの方法として委員会規則で定める事項、漏えい等や目的外の取扱い・契約違反があったときに委託先がすぐ委託元へ報告すること、そのほか委員会規則で定める事項です。免除の対象は、委託を受けた業務に必要な範囲で、契約の定めに従って取り扱う場合です。

契約に書く「取扱いの方法」の項目は、もう決まっていますか。

決まっていません。委員会規則はまだ公布されていません。事務局は、対象となる個人情報等、行われる処理の内容、取扱いの始期と終期、取扱いが行われる国または地域の4項目を、定めておく必要があるのではないか、と問いかけている段階です。

契約は書面で結ぶ必要がありますか。

事務局は、内容をはっきり特定して記録に残すため、書面(電磁的記録を含む)で定める方法としてはどうか、としています。これは案の段階で、契約の方法は委員会規則で定められます。

今ある委託契約書の雛形を、いま直すべきですか。

ここに載せた項目は、事務局が検討のたたき台として問いかけた候補で、契約書の雛形を今から固める根拠にはなりません。現在の契約に、対象データの項目、処理の内容、期間、取り扱う国が書かれているか、漏えい等のときの報告の手順と期限が決まっているかを点検する観点は示せます。最終的な条項は、規則の公布後に、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

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