改正法の構成 / 更新 2026-10-19

令和8年改正法が改正する個人情報保護法以外の法律

出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号・法律本文PDF)。第1条〜第3条と附則を2026-10-03に本文で確認。

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令和8年の改正法は、名前こそ「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」ですが、個人情報保護法のほかに、番号法と医療情報法の2つを本文で直接改正しています。附則では、統計法などの条文番号の整理も行っています。自社が番号法や医療分野の法律の対象でもある場合は、個人情報保護法だけを見ていると改正の半分を見落とします。

先に答えを書くと、番号法(第2条)と医療情報法(第3条)の罰則の改正は2027年1月17日、16歳未満の読替えなどそれ以外の改正は、公布(2026年7月17日)から2年を超えない範囲で政令が定める日(未定)に施行されます(附則第1条)。

1. 改正法の構成:どの条が何を改正するか

改正法の条文は、本文の第1条〜第3条と、附則で構成されています。条ごとの改正対象を表にします。

出典: 改正法(令和8年法律第56号)の本文。確認日 2026-10-03。
条 改正される法律 改正の中身(本文で確認できた範囲) 施行時期(附則第1条)
第1条個人情報の保護に関する法律このサイトの各ページで扱っている本体の改正です。罰則は2027年1月17日、ほかは政令で定める日(未定)
第2条行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)同意を得ないことに相当の理由がある場合の追加、16歳未満の特定個人情報の読替え、委員会の命令後の要請、罰則の改正(2章)。罰則(第49条・第51条第1項)は2027年1月17日。それ以外は政令で定める日(未定)
第3条医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律(医療情報法)16歳未満の読替え、命令の内容の拡大、罰則の引き上げなど(別ページで詳しく整理)。罰則(第68条・第69条)は2027年1月17日。それ以外は政令で定める日(未定)
附則第15条統計法第52条第4号が引用する条項番号を「第二条第九項」から「第二条第十項」に改めます(個人情報保護法の第2条に項が加わって番号がずれることに合わせた整理とみられます)。政令で定める日(未定)
附則第16条令和2年の改正法(令和2年法律第44号)その附則第10条(見直しの検討規定)の「ごとに」を「を目途として」に改めます(4章)。公布の日(2026年7月17日)
附則第17条民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和8年法律第46号)その第25条第3号で、個人情報保護法(平成15年法律第57号)を示す括弧書きの下に「第37条第3項及び」を加えます(2026-10-19に法律本文の附則第17条で確認)。令和8年法律第46号の公布の日またはこの法律の公布の日のいずれか遅い日

番号法の第2条は個人情報保護法の項を引用しており、その番号が改められます。第八項は第九項に、第九項は第十項に、第十一項は第十二項になります。個人情報保護法の第2条に「連絡可能個人関連情報」の定義(新しい第8項)が入り、後ろの項が1つずつずれるためです。

2. 番号法(第2条)の改正点

番号法は、マイナンバー(個人番号)を含む情報である「特定個人情報」の取扱いを定める法律です。改正法の第2条で、次の改正が入ります。

  • 同意を得ないことに相当の理由がある場合の追加: 第19条第16号に「その他本人の同意を得ないことについて相当の理由があるとき」が加わります。個人情報保護法の同意不要の場面の改正(目的外利用等の規律緩和)と同じ言い回しです。
  • 16歳未満の特定個人情報(第43条の2の新設): 16歳未満の者の特定個人情報については、同意が必要な場面では「法定代理人の同意」に、本人に対して行う場面では相手を「本人の法定代理人」に読み替えます。個人番号利用事務等実施者が行う、第29条の4第2項で本人に対して行うこととされている対応も、相手が本人の法定代理人になります。例外は3つで、16歳未満であることを知らないことに正当な理由がある場合、法定代理人が本人の営業を許可していてその営業に関して取得した場合、本人に法定代理人がいない(いないと信じるに足りる相当な理由がある)場合です。個人情報保護法側の考え方はこどもの個人情報(16歳未満)と読替表で整理しています。
  • 命令後の要請: 委員会が命令をした場合に、違反者の特定個人情報の取扱いに使う役務を提供している事業者(取扱関係役務提供者)に、取扱いの停止や役務の提供の停止など違反行為を中止させる措置をとるよう要請できる規定が加わります。要請に応じて措置を講じた事業者は、命令を受けた違反者に生じた損害について賠償の責めに任じません。違反行為が特定電気通信(インターネット上の情報の送信など)によるものであるときは、特定電気通信役務提供者に流通を防止する措置を要請できます。個人情報保護法側の同じ仕組みは勧告・命令等の実効性確保にあります。
  • 罰則: 第49条と第51条第1項が改正されます。内容は罰則のページに整理しています。
要請の条番号について改正法の第2条は、番号法の第34条の次に第34条の2として要請の規定を加えています(2026-10-08に法律本文で確認)。上の内容は、その文言から整理したものです。

3. 医療情報法(第3条)の改正点

医療情報法は、病院などが持つ医療情報を、認定を受けた事業者が匿名加工医療情報や仮名加工医療情報に加工して研究開発に使えるようにする仕組みを定めた法律です。改正法の第3条では、次の4点が変わります。個人情報保護法の新しい規定との関係の整理、16歳未満の者の医療情報の読替え、命令の拡大、罰則の引き上げです。詳しくは医療情報法の令和8年改正(16歳未満・命令・罰則)にまとめました。

4. 附則の改正:見直し規定の書き方が変わる

附則第14条は、この法律の施行後3年ごとに、個人情報保護に関する国際的動向や情報通信技術の進展などを勘案して施行の状況を検討し、必要があれば措置を講ずるとしています。一方、附則第16条は、令和2年の改正法の附則第10条にある「ごとに」を「を目途として」に改めます。つまり、令和2年の改正法に書かれていた「施行後3年ごと」の検討規定の文言が、「3年を目途として」の形に書き換わります。今回の改正法の検討規定(附則第14条)は「3年ごと」のまま置かれています。これまでの見直しの経緯は3年ごと見直しの検討経緯の年表にあります。

5. 施行時期:いつから変わるか

  • 公布の日(2026年7月17日)から: 附則第13条(経過措置を政令に委ねる規定)と第16条(上の4章の改正)。
  • 公布から6か月後(2027年1月17日): 番号法の第49条・第51条第1項の改正、医療情報法の第68条・第69条の改正を含む、罰則関係の改正規定。個人情報保護法の罰則の改正と同じ日です(2027年1月施行の罰則)。
  • それ以外: 公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日。施行日はまだ決まっていません。番号法の16歳未満の読替えや、医療情報法の16歳未満の読替えもこちらに入ります。

附則第17条は、令和8年法律第46号の公布の日またはこの法律の公布の日のいずれか遅い日から施行されます。改正の中身は、令和8年法律第46号の第25条第3号にある「(平成十五年法律第五十七号)」の下に「第三十七条第三項及び」を加える、という1か所の文言の追加だけです。この追加で第46号の第25条第3号の規律がどう変わるかは、第46号の本文との突き合わせが要るため、本サイトでは解釈を示しません。

6. 自社で確認しておくこと

個人情報保護法の改正対応を進めるときは、次の3点もあわせて確認します。

  1. マイナンバーを含む特定個人情報を取り扱っているか。取り扱っている場合は、2027年1月17日に施行される番号法の罰則改正と、後日施行される16歳未満の読替えが関わります。
  2. 医療情報を認定事業者へ提供する側か、認定事業者として受け取る側か。該当する場合は医療情報法の整理を確認します。
  3. 施行日が未確定の部分は、決定タイムラインで政令の公表を追います。
この記事の位置づけここに書いたのは、改正法の本文を読んで整理した内容です。個別の事業が番号法や医療情報法の義務の対象になるかどうかの判断や、法的な助言ではありません。

よくある質問

令和8年の改正法は、個人情報保護法のほかに何の法律を改正しますか。

本文で直接改正しているのは、番号法(第2条)と医療情報法(第3条)です。附則では、統計法の条項番号の整理(第15条)、令和2年の改正法の見直し規定の文言の改正(第16条)などを行っています。

番号法では、何が変わりますか。

本文で確認できた改正は、同意を得ないことについて相当の理由があるときの追加(第19条第16号)、16歳未満の特定個人情報の読替え(第43条の2の新設)、命令後の取扱関係役務提供者への要請の規定の追加、罰則の改正(第49条・第51条第1項)です。

番号法の要請の規定は、何条に入りますか。

改正法の第2条は、番号法の第34条の次に第34条の2を加えています。委員会が第34条第2項または第3項の命令を受けた者に対し、その命令に従わない場合に、特定個人情報の取扱いに使う役務を提供する取扱関係役務提供者へ、取扱いや役務の提供の停止などを要請できる内容です。個人情報保護法側の規定は、取扱関係役務提供者への要請のページで整理しています。

これらの改正は、いつから施行されますか。

罰則関係の改正規定(番号法の第49条・第51条第1項、医療情報法の第68条・第69条を含む)は、公布の日(2026年7月17日)から6か月を経過した日で、2027年1月17日です。それ以外は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内で政令が定める日で、まだ決まっていません。

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