団体運営の入口 / 更新 2026-10-11

NPO・非営利団体の個人情報と令和8年改正(会員名簿・寄付者・イベント参加者)

出典: 個人情報保護委員会のQ&A・改正法の概要・政令規則の整備資料、e-Gov法令検索。2026-10-11に本文を確認。

ノートに書き込む手と、向かいに座る人

NPO法人・ボランティア団体・サークルなどの事務局向けに、会員名簿・寄付者の情報・イベント参加者の情報が令和8年改正のどこに関わるかを整理しました。委員会のQ&Aでは、非営利の団体でも名簿を事業に使っていれば個人情報保護法の対象になりえます。確認できた5つの場面と、まだ決まっていないことを分けて書きます。

1. 確認できたこと: 非営利でも対象になりえる、改正はNPO専用ではない

個人情報保護委員会のQ&A(A1-54)は、法の「事業」は一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為で社会通念上事業と認められるものをいい、営利・非営利の別は問わないとしています。そのため、非営利の活動を行う団体でも、個人情報データベース等(検索できる名簿など)を事業の用に供していれば個人情報取扱事業者に該当します。NPO法人、自治会・町内会、同窓会、PTAのほか、サークルやマンション管理組合なども該当し得ます。取り扱う件数が少なくても該当しうるとされています(A1-50)。

一方、同じQ&AのA1-55は、民生委員・児童委員が民生委員・児童委員として活動する範囲内では個人情報取扱事業者から除かれるとしています。団体の形態ごとの該当性は、このサイトでは判断しません。

令和8年改正については、委員会の改正法の概要と政令・規則の整備資料のうち、このサイトが確認した範囲では、NPO・非営利団体だけを対象にした項目は見当たりません。改正項目は、取り扱う情報の種類や行為(罰則、委託、漏えい等報告、16歳未満の子ども、顔特徴データ等)で書かれています。そのため、団体がどんな名簿やデータをどう使うかで、関係しうる項目が変わります。

2. 団体運営の場面と、関係しうる改正項目

NPO・非営利団体の場面と関係しうる改正項目(確認日 2026-10-11)
場面関係しうる改正項目状態解説ページ
会員名簿・寄付者名簿の持ち出し個人情報データベース等の不正提供等の罪。条文は従業者又はこれらであった者を対象に含める。罰則関係は2027年1月17日に施行施行日は確定2027年1月施行の罰則
名簿の管理、会報や礼状の発送、会計・寄付受付システムの外部委託委託先自身への義務の明文化(法第30条の3)と、指示どおりに機械的に処理する委託先の義務免除(法第58条の2)契約事項は規則待ち委託先の個人データ取扱い、確認質問リスト
会員・寄付者情報の漏えい・誤送付(メールの宛先誤り等)漏えい等報告・本人通知の見直し規則待ち漏えい等報告・通知
子ども向けの活動(学習支援、子ども食堂、キャンプなど)の参加者情報16歳未満の者が本人の場合の、法定代理人の関与の明文化政令・規則待ちこどもの個人情報
会場の顔認証カメラ、顔画像から本人を識別する仕組み顔特徴データ等の規律(周知など)。映像を記録するだけか、照合に使うかで変わる政令・規則待ち顔特徴データ等

ボランティアや理事が法第24条の「従業者」に当たるかは、このサイトでは判断しません。委員会のQ&A(A5-6)は、町内会やマンション管理組合の運営を担う理事等について、形態や管理の実態にもよるが「従業者」に該当するものと考えられるとしています。NPO法人のボランティアに同じ整理が当てはまるかは、このQ&Aには書かれていません。

3. 準備として確認できること

個別の判断はできませんが、事務局が最初に確かめる点は示せます。

  1. 会員名簿、寄付者のデータ、イベントの申込・参加者名簿が、誰のどの場所(表計算ファイル、共有フォルダ、クラウド、紙の綴り)にあるかを一覧にする。
  2. 役員やボランティアが交代・退会するときに、名簿へのアクセス権限を止める手順があるかを確認する。罰則が施行される2027年1月17日より前に確かめておく項目です。
  3. 名簿管理、メール配信、寄付受付、会計を外部サービスや事業者に任せているなら、契約書・利用規約を探す。確認の質問は委託先への確認質問リストにまとめています。
  4. 16歳未満の子どもが参加する活動で、申込や同意を誰から受けているかを確認する。
  5. 役員・ボランティア向けの注意喚起の文面を社内周知の要点で確かめる。

4. 決まっていることと未確定のこと

NPO・非営利団体の情報に関係しうる改正項目の状態
項目決まっていること未確定のこと
団体への適用非営利でも、個人情報データベース等を事業の用に供していれば個人情報取扱事業者に該当しうる(委員会Q&A)個別の団体が該当するか(このサイトでは判断しない)
罰則(持ち出し)2027年1月17日に施行個別の行為が当たるかは事案ごとの判断
委託先の規律委託先への義務の明文化と免除の枠組み(改正法)免除の前提となる契約事項(規則)
16歳未満・顔特徴データ等・漏えい等報告改正法に規定。具体的な内容は委任政令・規則の内容と施行日
非営利団体に限った改正確認した資料に記載なし今後の政令・規則・ガイドラインで示されるかは不明

5. 名簿別に見る、現行のまま続く確認点と改正で変わる確認点

団体が持つ名簿は、会員、寄付者、ボランティアで、集め方も渡す先も違います。次の表は、名簿ごとに、現行の法でも確認が要る点と、令和8年改正で動く項目を分けたものです。改正側の「状態」は、2026-10-19時点でこのサイトが確認した範囲で、政令・規則が公布されたものはありません。

名簿別の確認点(現行/改正)
名簿現行の法で確認が要る点令和8年改正で変わる項目改正側の状態
会員名簿取得したときの利用目的の通知または公表(法第21条第1項)、名簿を扱う役員・事務局の監督(法第24条)、会報の発送などを外部に任せる場合の委託先の監督(法第25条)名簿の持ち出しなどの罰則。委託先の義務の明文化と免除。漏えい等報告・本人通知の見直し罰則は2027年1月17日に確定。委託の契約事項と漏えい等の緩和範囲は規則待ち
寄付者名簿利用目的の通知または公表、寄付受付や会計を外部サービスに任せる場合の委託先の監督、漏えいが起きたときの現行の報告(法第26条)委託先の義務の免除の前提となる契約事項。漏えい等報告・本人通知の見直し規則待ち
ボランティア名簿(活動参加者・登録者)利用目的の通知または公表、名簿を扱う人への監督。ボランティアが法第24条の「従業者」に当たるかはこのサイトでは判断しません(委員会Q&A A5-6は、町内会等の理事等について従業者に該当するものと考えられるとするにとどまる)名簿の持ち出しなどの罰則(従業者又はこれらであった者が対象に含まれる)。16歳未満の参加者がいる場合は法定代理人の関与の明文化罰則は2027年1月17日に確定。16歳未満は政令・規則待ち

会員向けの苦情の受け付けや、業界ごとの自主ルールを使いたい団体は、苦情処理などを行う認定個人情報保護団体と令和8年改正の仕組みも参考になります。令和8年改正では、漏えい等報告の速報を免除する仕組みで「確認する第三者」の例として、この認定団体が出てきます。団体が加入できるか、加入の要否はこのサイトでは判断しません。

この節の現行条文(法第21条・第24条・第25条・第26条)は、e-Gov法令検索の現行条文で2026-10-19に確認しました。

このページが扱わないことNPO法(特定非営利活動促進法)の名簿の閲覧・備置きの定め、寄付に関する税制、各自治体の条例は、令和8年改正の資料と別に確認が必要で、このページでは確かめていません。
この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会が公表した資料の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自団体が規律の対象に当たるかの最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

よくある質問

NPO法人やボランティア団体にも個人情報保護法は適用されますか。

委員会のQ&A(A1-54)は、「事業」は営利・非営利の別を問わないため、非営利の団体でも個人情報データベース等を事業の用に供していれば個人情報取扱事業者に該当するとしています。取り扱う件数が少なくても該当しうるとされています(A1-50)。実際に該当するかは名簿の使い方によるため、このサイトでは判断しません。

令和8年改正に、NPO・非営利団体だけを対象にした項目はありますか。

確認した委員会の資料では、NPO・非営利団体だけを対象にした項目は見当たりませんでした。改正項目は取り扱う情報の種類や行為で書かれています。今後の政令・規則で示される可能性は否定できません。

寄付者の名簿を外部の業者に任せている場合は何を確認しますか。

委託先への監督と、委託先自身に明文化される義務の両方が関係します。契約書に定める事項は規則待ちです。確認の質問は委託先への確認質問リストにまとめています。

出典