経営層や取締役会に改正対応を報告するときは、「決定済み」「未確定」「期限」「社内で決める事項」の4区分に分けると、確定した事実と見込みが混ざりません。令和8年改正個人情報保護法で期限が確定しているのは、罰則関係の2027年1月17日だけです。このページは、担当者が上司に説明するための要点を、一次資料の出典と確認日つきで1画面に並べたものです。
1. 4区分の要点(2026-10-15時点)
| 区分 | 報告する内容 | 状態 | 出典・詳細 |
|---|---|---|---|
| 決定済み | 改正法は2026年7月10日に成立、7月17日に公布された(令和8年法律第56号)。改正項目には課徴金の導入、16歳未満の個人情報、顔特徴データ等、委託先の規律などが含まれる。課徴金の対象行為と要件は課徴金制度にまとめている | 確定 | 改正法本文、決定タイムライン |
| 未確定 | 本体部分の施行日(公布から2年を超えない範囲で政令が定める日。政令は未公布)。政令・委員会規則の中身(12論点のうち、確定は0件、委員会事務局の資料で見通しが示されたのが9件、個別の検討資料が確認できないのが3件)。ガイドライン・Q&Aの公表時期 | 未確定(見込みは期限として扱わない) | 改正法本文、委員会事務局の資料、一覧 |
| 期限 | 2027年1月17日: 罰則関係の規定と公示送達のデジタル化が施行される(公布から6か月後)。この日に課徴金や顔特徴データ等の規律は始まらない。政令・規則の公布は2027年内の見込みだが、月日は示されていない | 2027-01-17のみ確定 | 改正法附則第一条、罰則、期限の暦 |
| 社内で決める事項 | 改正の公表を追う担当と報告の頻度。自社に関係しうる改正項目の確認(棚卸しの範囲)。顧問弁護士に確認する範囲。取扱規程・契約・研修の見直しを始める時期。これらは法律が決めるものではなく、社内で決める | 社内の判断 | 準備スケジュール、部門別の確認項目 |
状態の欄の「確定」は、法律本文または委員会の公表資料に日付が書かれていることを指します。12論点の内訳は2026-10-14時点の公表資料までで、新しい公表があれば変わります。
2. 報告で避ける言い方
| 避ける言い方 | 理由 | 書き換えの例 |
|---|---|---|
| 「〇年〇月に施行される」 | 本体部分の施行日は政令で定める日で、未公布。2027年内の公布見込みも月日は未定 | 「施行日は政令で定める日(公布から2年以内)で、現時点で未定。確定済みの期限は2027年1月17日(罰則関係)」 |
| 「課徴金は〇〇円になる」 | 算定の細目は規則待ちで、このページは金額の試算をしない | 「課徴金の導入は法律で決まった。対象行為と要件は法律に書かれ、算定の細目は規則待ち」 |
| 「この対応をすれば問題ない」 | 個別の事案の判断は、顧問弁護士・個人情報保護委員会が行う | 「自社への当てはまりは顧問弁護士に確認する予定」 |
| 「委員会が〇〇と決めた」(事務局の案の段階) | 基本的な考え方①〜③は事務局が示した案や問いかけで、決定ではない | 「委員会事務局が案を示した段階で、決定ではない」 |
3. 報告の構成の例(一般的な参考例)
- 結論: 確定している期限は2027年1月17日だけで、本体部分の施行日は未定
- 決定済み: 法律で決まった改正項目(11テーマ)と、自社に関係しうるものの絞り込み結果(該当性チェックで絞れる)
- 未確定: 政令・規則待ちの論点と、次に確認する委員会の公表
- 社内で決める事項: 担当、報告の頻度、顧問弁護士への確認、見直しの着手時期
- 次回報告の予定: 委員会の公表があった時点、または社内で決めた頻度
報告の記録を残す項目は改正対応の記録簿の項目にまとめています。
4. 報告資料1枚の様式例と、台帳・記録簿との対応(一般的な参考例)
報告資料は、社内で作る台帳(個人データ取扱台帳の項目)と記録簿(改正対応の記録簿の項目)から、数行を持ち上げて作ると、確認日や資料の段階を毎回書き直さずに済みます。次の表は一般的な参考例で、法律が定めた様式ではありません。
| 資料の欄 | 書く内容の例 | 材料にする記録の項目 |
|---|---|---|
| 確認日と資料 | 報告の内容をいつ時点の何の資料で確かめたか。資料名と日付 | 記録簿の「確認日」「確認した資料」 |
| 決定済みの事項 | 法律本文で決まっている改正項目と、確定している期限(2027年1月17日) | 記録簿の「資料の段階」が「法律本文」または「政令・規則(公布済み)」の行 |
| 未確定の事項 | 政令・規則待ちの論点。事務局の案の段階のものは「案」と明記する | 記録簿の「資料の段階」が「委員会事務局の案」「検討中」の行 |
| 自社に関係しうる改正項目 | 該当性チェックで絞ったテーマと、そのテーマに関わる個人データのまとまり | 記録簿の「関係しうる改正項目」、台帳の「データの種類・名称」 |
| 見直した文書と承認の状況 | 見直した規程・契約・研修資料と、承認済みか承認待ちか | 記録簿の「見直した文書」「見直しの内容」「承認」 |
| 顧問弁護士への確認 | 確認した日と、確認が済んでいない範囲 | 記録簿の「相談の記録」 |
| 次回報告の契機 | 次回の日付、または政令の公布・ガイドライン公表などの契機 | 記録簿の「次の確認日/契機」 |
| 台帳の項目 | 主に材料になる区分 | 報告での使い方の例 |
|---|---|---|
| 預け先(委託先)と再委託の有無 | 社内で決める事項 | 委託契約の見直し対象の件数と、見直しの着手時期を示す。委託先の取扱いで関係する改正項目を確かめる |
| 提供先(第三者提供) | 社内で決める事項 | 第三者提供の記録がある提供先の範囲を示し、顧問弁護士に確認する範囲を決める材料にする |
| メールアドレス・電話番号・Cookie IDなどの扱い | 未確定 | 「連絡可能」に当たる範囲は委員会規則で定められ、まだ出ていないため、未確定の事項として扱う。連絡可能個人関連情報に詳細がある |
| 個人データの項目 | 決定済み/社内で決める事項 | 16歳未満の本人に関わる項目の有無を示す。法律で決まった内容はこどもの個人情報で確かめる |
| 漏えい等が起きたときの連絡先 | 社内で決める事項 | 社内の連絡経路と担当の確認状況を示す。報告・通知の細目は規則待ちの論点がある |
どの行も、自社への当てはまりや対応の要否の結論は書きません。その判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。
よくある質問
取締役会への報告は、法律で義務付けられていますか。
日本の令和8年改正個人情報保護法について、取締役会への報告を義務付ける規定は、確認した資料には見つかっていません。このページの4区分は、本サイトが担当者の説明用に整理したものです。
経営層には、いつの時点の情報を伝えればよいですか。
確認日つきで伝えてください。このページの内容は2026年10月15日時点で、政令・規則の公布は確認できていません。公表があれば決定タイムラインで更新を追えます。
課徴金の金額は、いくらになりますか。
このページでは試算しません。課徴金の導入は法律で決まり、算定の細目は規則待ちです。対象行為と要件は課徴金制度にまとめています。
出典
- S-26個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律 本文(PDF) 附則第一条(確認日 2026-09-05)
- S-17個人情報保護委員会事務局「今後の取組について」(PDF・2026年7月31日) ロードマップ(確認日 2026-09-04)
- S-16個人情報保護委員会事務局「政令・規則等で定める事項の全体像」(PDF・2026年8月26日)(確認日 2026-09-04)
- S-111個人情報保護委員会事務局「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方について③」(PDF・2026年10月14日)(確認日 2026-10-14)
- S-119個人情報保護委員会「令和8年改正個人情報保護法」(2026-10-15時点で政令・規則の公布の掲載なし)(確認日 2026-10-15)