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現行制度の整理 / 更新 2026-10-26

利用目的の変更|通知・公表と同意が要る場合の判定

出典: e-Gov法令検索(個人情報保護法 第17条・第18条・第21条)、個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」「ガイドラインに関するQ&A」。2026-10-26に原文を確認。

プライバシーポリシーの利用目的を書き換えるとき、本人の同意は要るのか、通知か公表で足りるのかを、条文の順に判定する表にしました。令和8年改正の対象外の現行ルールです。改正を待たずに、今の運用の点検に使えます。

1. 結論:変更後の目的が関連性の範囲かで分かれる

利用目的の変更には、3つの条文が順に関わります。

  1. 変更できる範囲(法第17条第2項): 利用目的を変更する場合は、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えてはなりません。
  2. 変更後の周知(法第21条第3項): 利用目的を変更した場合は、変更した利用目的を本人に通知するか、公表しなければなりません。
  3. 範囲を超えるとき(法第18条第1項): あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはなりません。

つまり、関連性の範囲内の変更なら同意は要らず、通知か公表が要ります。範囲を超える使い方をしたいときは、目的の書き換えではなく、事前の同意を取る話になります。

令和8年改正との関係令和8年改正法の本文(個人情報保護委員会が公表したPDF)には、第十七条そのものを改める条項がありません(「第十七条中」「第十七条第」で始まる改め文は無く、第十七条は他の規定の中で引用されるだけです)。第21条の次に、特定生体個人情報を取り扱うときの通知等を定める第21条の2が新設される点は、特定生体個人情報とは・顔特徴データとはに書いています(確認日 2026-10-26)。

2. 関連性の範囲とは

ガイドライン(通則編)は、関連性を有すると合理的に認められる範囲を、変更後の利用目的が変更前の利用目的からみて、社会通念上、本人が通常予期し得る限度と客観的に認められる範囲内と説明しています。

この「通常予期し得る限度」は、本人の主観や事業者の恣意的な判断ではなく、一般人の判断で、当初の利用目的と変更後の利用目的を比べて予期できる範囲をいい、当初の目的とどの程度の関連性があるかを総合して判断される、とされています(確認日 2026-10-26)。

委員会のQ&Aは、平成27年改正で「相当の関連性」から「関連性」に改められたことを挙げ、一般的な消費者からみて合理的な関連性のある範囲内で、利用目的の変更を柔軟かつ適時に可能とする規定だと説明しています。

3. 判定表:変更の場面ごとの扱い

次の表は、委員会Q&A(A2-6、A2-8、A2-9)が挙げる事例を、条文の順に並べたものです。Q&Aは、個別具体的な事例ごとに判断されるとしており、表は自社の変更が適法かの判断ではありません。

利用目的の変更の判定表(委員会Q&Aの事例)
変更の場面関連性の範囲本人への通知・公表本人の同意
「新商品・サービスに関する情報のお知らせ」に、既存の関連商品・サービスに関する情報のお知らせを追加する認められ得る(Q&A掲載の事例)必要(法第21条第3項)変更自体には不要
会員向けにレッスン開催情報をメール配信する目的で持っていた情報で、新しく始めた栄養指導サービスの案内を配信する含まれ得る(Q&A掲載の事例)必要(同上)変更自体には不要
「商品・サービスの提供」に、提携先が提供する関連商品・サービスの情報のお知らせを追加する(例:太陽光発電システムの販売事業者が、提携する電力会社の買取サービスを紹介)含まれ得る(Q&A掲載の事例)必要(同上)変更自体には不要
当初の目的に第三者提供が含まれていないのに、新たに法第27条第2項(オプトアウト)による第三者提供を行う認められない(Q&A掲載の事例)目的の変更としては行えない範囲を超える取扱いは事前の同意が必要(法第18条第1項)
会員カード等の盗難・不正利用発覚時の連絡のために取得したメールアドレスで、新たに商品・サービスの情報のお知らせを行う認められない(Q&A掲載の事例)目的の変更としては行えない事前の同意が必要(同上)
利用目的の変更を通知する封筒に、利用目的の範囲に含まれない商品告知を同封する範囲外の告知はできない(Q&A A2-6)—必要。範囲を超える利用は事前の同意が要る

同意が要る場合でも、法第18条第3項の各号(法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護のために必要で同意を得ることが困難な場合など)に当たるときは、同意なしで取り扱える場合があります。当たるかどうかは、各号の要件を条文で確かめてください。

4. 変更後の通知・公表のやり方

通知か公表のどちらかで足りますが(法第21条第3項)、本人に認識される合理的かつ適切な方法によらなければなりません。ガイドライン(通則編)が挙げる事例は次のとおりです(確認日 2026-10-26)。

通知と公表の方法の例(ガイドライン通則編の事例)
方法事例
本人への通知ちらし等の文書を直接渡す/口頭または自動応答装置等で知らせる/電子メール、FAX等で送信し、または文書を郵便等で送付する
公表自社のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載/店舗や事務所等、顧客が訪れる場所へのポスター等の掲示、パンフレット等の備置き・配布

知らせ方について、Q&A(A2-7)は、変更後の利用目的を通知することで足りるとしています。そのうえで、本人にとっての分かりやすさから、「もともと××であったものを今後○○に変更します」のように、当初の利用目的のどの点がどのように変わったかを示すことが望ましい、としています。

通知・公表が要らない場合

法第21条第4項は、同条第1項から第3項の規定を適用しない場合として、次の4つを定めています。変更の通知にも当てはまり得ますが、いずれも要件があるため、条文で確かめてください。

  • 通知・公表により、本人または第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
  • 通知・公表により、当該事業者の権利または正当な利益を害するおそれがある場合
  • 国の機関または地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに協力する必要があり、通知・公表により事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
  • 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合

5. 自社の変更を確かめる順序

  1. 変更前の利用目的の文言と、変更後の文言を並べ、追加・変更する点を書き出す。
  2. 追加する点が、変更前の目的からみて本人が通常予期できる範囲か、表の事例と見比べる。第三者提供の追加や、連絡用に取得した情報の販促利用は、Q&Aが認められない例に挙げています。
  3. 範囲内なら、通知か公表の方法を決め、変更後の利用目的を知らせる。知らせる文書には、範囲に含まれない告知を同封しない。
  4. 範囲を超えるなら、利用目的の書き換えで済ませず、本人の同意を取る手順に切り替える。法第18条第3項の例外に当たるかも確かめる。
  5. プライバシーポリシーの利用目的の項を直すときは、プライバシーポリシーの改正|見直す7項目の利用目的の行とあわせて点検する。

6. よくある質問

Q1. 利用目的を変更するとき、本人の同意は必要ですか。

変更後の利用目的が、変更前と関連性を有すると合理的に認められる範囲に収まるなら、変更そのものに同意は要りません。その代わり、変更した利用目的を本人に通知するか、公表します。範囲を超えて取り扱うなら、法第18条第1項により事前の同意が要ります。

Q2. 利用目的の変更は、通知と公表の両方が必要ですか。

どちらか一方で足ります。法第21条第3項は「本人に通知し、又は公表しなければならない」と定めています。方法の例は4の表のとおりです。

Q3. 利用目的の変更を知らせるとき、変更前との対比を書く必要はありますか。

必須ではありません。Q&A(A2-7)は、変更後の利用目的を通知すれば足りるとしています。ただし、当初の目的のどの点がどう変わったかを示すことが望ましいとされています。

この記事の位置づけここに書いたのは、個人情報保護委員会と法令の原文の整理であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自社の変更が関連性の範囲に収まるかの最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。

関連する改正は、目的外利用等の規律緩和(同意が不要になる例外の新設)と、こどもの個人情報のページにあります。

出典